41チュン目
子ども2人は程々で上がり縁側に並んで座り涼んでいる。
カッポーン。
庭は完全に日本庭園だった。砂利が敷かれ、植物が整えられ池のある立派な庭園だった。水の流れる音とししおどしの音が響く。
わたしはコーヒー牛乳の瓶をヘレナちゃんはイチゴ牛乳の瓶を持っていた。……サービスだとかで貰っちゃったけどこれ有るんだね……拘り過ぎではないだろうか?
ヘレナちゃんはすぽんと簡単に紙の蓋を取っていた。慣れている……ドヤ顔いただきました。
カリカリカリ……ベリッ
……わたしは半分に剥がれて残ったので押し込んだ。ってか蓋取る用の針は無いの?
しばらくすると奥様も出てきて丁度夕食の時間なので移動する事に。慣れすぎててタイミング完璧ですね。
当然の様に3人一緒に案内される……あれ?わたしも一緒?
何故か既に同室になっていた……えっ!?
「ここの女将とはお友達なの」
いや、それは理由になってませんからね?
料理は和食だった。すき焼き膳?待って、醤油有るのかよ!
大変美味しゅうございました。
食後に爪楊枝を蓋に刺してコマにして遊んだ。ヘレナちゃん大興奮。向うの世界ではプラのキャップになっちゃったからできないんだよね。
そして布団を敷いて仲良く寝る事に。ヘレナちゃんはわたしの布団に潜り込んできた。
「あらあら。いつもは私の布団なのにすっかり懐いたわね」
まぁ誰かと寝るのはもう慣れたので気にせず寝る事にした。
夜中、気配を感じて起きる。
そっと部屋を抜け出し縁側へ。
「ご苦労様、アーノルド」
「迎えに来たわよ」
影からアーノルドが出てくる。思ったより早かった。
「いくら何でも急に宿から消えたら不審でしょ?明日じゃダメだったの?」
「ちょっと立て込んでてねぇ……なるべく早い方が良いんだけど」
「何か有ったの?」
「ちょっと説明し難いんだけど、エリカさんの魔物達が食い止めてるからどれぐらい持つか……」
「……どういうこと?」
なんでも闇のオーラを使う勇者君とは合流できたそうだが、光の勇者君のパーティとバトっているらしい。
こちらの最大戦力であるわたしには早く戻って欲しいのだとか。
……何故バトる事になったのか……目的はどちらも世界の安定だろうに。
「なら先に戻ってて。明日、挨拶したらマッハで戻るから」
「ゴメンね。本当はゆっくり休ませてあげたいんだけど」
それじゃ先に行ってるからとアーノルドは影に消えた。
ゆっくりできないなぁ……まぁ全部終ったらかなぁ。
翌朝、わたしは女将を探し直ぐ発つ事を伝えた。
するとサインを求められた。小切手じゃなくて色紙に。
やっぱり御使い様だってバレてた。
それに泊まった有名人のサインを玄関に飾るのが伝統らしい。言われて見るとすごい量だった。流石歴史ある宿。
なお、支払いはサインで終った。後からリバーダムの王城に請求が行くらしい。経費で落ちるんだ?いいのかな?
部屋に戻り、奥様とヘレナちゃんに出発の挨拶をする。
ヘレナちゃんは悲しそうに袖をずっと掴んでいたが、また絶対来るからと説得し宿を出た。
街中を常識的な速度で駆け抜け門を抜ける。
朝風呂ぐらいは入ってくれば良かったなぁ……いや、緊急らしいので仕方ないか。
待ってろよ醤油!絶対買いに戻ってくるからな!
スマホのマップで方向を確認し空に駆け上がる。
高度を確保したらムービングフィールドを展開してスーパークルーズ。超音速で合流だ!
しばらくスーパークルーズをすると前方に黒い大きな影を発見。
近づくとノワール君と背に乗ったエリカさんとアーノルドだった。
速度を合わせてノワール君の背中に飛び乗る。
「お待たせ」
「うわ!びっくりした!?」
「ごめんね。急がせちゃって。でも私達だとどうしようも無かったから」
「仕方ないよ」
こうして揃って目的地へと飛んでいく。
「くっ!見損なったぞ!」
「はっ!何を見損なったのだ?己の力を理解し使いこなしてこそだろう!」
「だからって闇の力に手を出して良い訳が無いだろう!その力は世界を滅ぼすんだぞ!」
「この力は生まれ持ったものだ。それはキサマも良く知っているだろう」
「他の手だって有ったはずだ!」
「そもそも誰が闇の力を使ってはいけないと?そこの女神か?」
白く輝く剣を振り回す少年と右腕が黒く大きな腕になった少年が戦っている。
白い剣を黒い腕が弾く。一見すると白い剣の少年が優勢だが黒い少年の方が余裕が有りそう。攻撃を全て流していた。
周囲に人や魔物が居るが攻撃の余波にどちらも近づけない様だった。
「……すごいね……あれ」
「でしょう?アレに割り込めるのなんて不死身のミコぐらいだと思って」
「いや、流石に不死身じゃないと思う。異常に硬いだけだって。まぁいいや、とりあえず割って入れば良いね?」
「うん。ここをこれ以上壊したらまずいの。直ぐ止めてもらえる?」
「了解」
ぴょんと飛び込みフリーフォール。
「お前の目を覚ませる!」
「キサマの綺麗事にはうんざりだ!」
「はいそこまでー」
光の剣を白刃取り。
闇の拳を掴む。
これ本気の攻撃じゃなかった?
『なっ!?』
「ちょっと頭冷やそうか?」
2人にボディーブローを叩き込んで気絶させた。




