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4チュン目

 皆様、おはようございます。清々しい朝は清らかな水浴びから始まります。

 林の中の池に来ました。生存競争の中で見つけたのです。

 発見当初は大型のワニみたいな魔物が占拠していたので狙撃して倒しました。

 大抵の魔物は狙撃すれば倒せます。味は淡白で味気なかったです。

 池を開放してから小動物や精霊、妖精みたいな小さな生き物が集まるようになってとても賑やかな場所です。

 わたしは何故かここの守り神的な?扱い受けてます。みんなすごい懐いてる。木の実とかお供えされてる。

 見つけてからは日に一回、水浴びに来ています。女の子はきれいにしなくっちゃ。

 スク水なのでそのまま泳げる便利さ。人目がないので全裸でも良いんだけど。

 パーカーはどんなに洗っても臭いは取れども色は黒いまま。もう諦めました。

 髪や体は妖精さんが洗ってくれます。何かの花かな?すごい良い香のするオイルも塗ってくれます。

 まるで物語のお姫様!開放的な大自然で妖精さんの天然オイルマッサージは心も体もデトックス!

この現実の方が物語よりよっぽど奇妙だけどさ。

 クイクイ


「なに?」


 オイル塗ってくれた妖精さんがどうやら池の真ん中に来て欲しいらしい。

 よく分らないけど足の裏に魔力板出しながら水面を歩いていく。もうこの程度は息するように出来る。

 池の中心に着くと、スッと水球が浮き上がったと思うと弾けて大人の女性が現れた。すごい美女だ!

 でもずぶ濡れにされたんですけど?


「ようやくお話が出来そうですね、新たな森の主」


 あ、ここ森なんだ?結構明るかったし全然そんな感じしなかったよ。


「わたしのことですか?」


「あなた以外にここに誰か居ますか?」


 多分、泉の女神様的な人を指差す。

 わ、すっごいジト目だ!


「……貴女は人を指差すなと教わらなかったのですか?」


「生憎、ここ1週間程は野生に生きていましたので人の理を忘れました」


 しれっと嫌味を言っておく。


「わたしが新森の主です!(ドヤァ)」


 何かそれっぽいポーズもとっておく。


「……まあ、良いです」


 コホンと一息。


「貴女がこちらの世界に来る事になった経緯はそちらのスマホ?から閲覧できる様にしておくとの事でしたのでご確認下さい」


「上司でもいるの?」


「ええ、私達は大精霊。神の代わりに土地を管理する存在です」


「ふーん?それで?」


「はい、迷い人が来たら好きに使って良いとの事でした」


「おい、まてや」


「神曰く、命救ったのだから働いて恩を返せと」


「……勝手にやっておいて何を……」


「いずれにせよ、貴女はこちらにいなければ生きてはいませんでした」


「んー?まぁそうですよね、色々めんどくさい世の中ですもんね。」


「そうではありません。その言い難いのですが……貴女の産まれた国は滅んだのです。スーパーボルケーノと――あっ!」


 ボチャン

 滅んだと聞いて全身から力が抜けた。

 水面に浮かびながら思う。

 火山大国日本。そもそも日本列島そのものが火山のような物である。

 スーパーボルケーノ、破局噴火で滅ぶ可能性があるという説もあった。

 だから嘘だと笑いとばす事は出来なかった。むしろ妙に「そうだ」という予感。

 最初のメインクエスト「生きる」とはそういう事だったのではと感じる。

 また見えない何かに助けられて生きている。


「……そう、なんだ……」


 実は帰る事が目標だった。その為にも先ずは生きようと。

 人の帰省本能は世界を超えても残っている様だ。

 姿が変わってもきっと分ってくれる人がいるって。

 だから帰っても大丈夫だって思い込んでいた。

 でも、滅んでしまったのならこれからどうしよう。


「そんな幼い頃から絶望したような顔をするものではありませんよ」


「……帰る場所が滅んだって言われて、何も感じない人なんていない……」


「この世界では簡単に国が滅びます。この世界の人々にその様な感情はあまりみられませんよ。貴女のいた世界は随分と恵まれていたようですね」


「……そう、なんだろうね……よく分らないけど」


「当たり前になってしまうと気がつけないものです」


 大精霊にそっと抱き上げられる。誰かに抱きしめてもらうのなんていつ依頼だろうか。

 水の大精霊は冷たいかと思ったら温かくて涙は自然と流れた。


「落ち着きましたか?」


「話を聞くぐらいには」


 今は池から少し離れた草地に並んで座っていた。


「それは良かった。生意気なぐらいが貴女らしいですよ」


 それ褒めてないよね?


「き、聞くだけだからねっ!」


「つんでれ?って言うのでしたっけ?」


ヤメテー!

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