貴方は仲間
ある雪山の奥にそれは大きな国がある。そこにはとても美しい氷の城がある。城の主は残忍な女王で、逆らう者全てを皆殺しにしたという。
今はもう昔の話だけれど
「昔の話じゃなかったんだ。」
目の前には立派な玉座に座った少女がいた。陶器のような肌を惜しみなくだすようなデザインのドレスを着て、きらきらと全ての光を跳ね返す耳飾りをしたその少女はとても優しく微笑んでいた。
「貴方ね。私と同じ氷臓病なのは。」
親しげに話しかけてくるその少女はまるで世間話をするかのように僕の病気の話をしてきた。
氷臓病。それは心臓が氷に包まれてしまう恐ろしい病気だ。強力な氷の魔法が使える代わりに18歳の誕生日に心臓が氷漬けにされる。
「仲間がまた増えるなんて、嬉しいわ。ねえ、貴方お名前は?」
「......アラン・サハロフ。」
「アラン、いい名前ね。私はアナスタシア。アナスタシア・ロバチェフスキー。ターシャと呼んでいいわ。」
愛称を呼ぶことまで許してくれたその少女は残忍な女王様という噂とはかけ離れていた。
「これから貴方は私の僕であり、仲間であり、友人よ。この城に住む権利をあげるわ。部屋も用意してあるから、ラヴィルが案内しなさい。」
とんとん拍子で話が進んでいく。静かにラヴィルさんに促され僕は玉座の間を後にした。
とりあえず、僕はどうしてここにいるのだろうか。