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5・見張り兼ガイド。

 アノ勇者は危険だ。

元の世界に帰れないコトに激高したし神官達を脅すことも辞さない。

相手が王だろうが宰相だろうが気にも止めていないのは明白だ。


一緒に戦った連中の評価は高いし信頼もされていた。

ドラゴンの討伐だけなら私もソレを認めよう。

だが、相手が老聖女さまとなると放っておく訳には行かない。

あの方はもうずっと神殿を支えてこられたのだ。

引退して故郷に帰りたいというご希望に誰も逆らえなかった。


アノ勇者はソレすらも気にくわないらしい。

「自分は故郷に帰っただとぉ! 俺は帰れないのに!」


どうやら元の世界には彼にとって大事な人がいるらしい、、

気の毒だとは思うが戻れる保証はない。

たとえ老聖女さまに会えたとしても。


老聖女さまは召喚と送還について資料を山ほど残して行かれた。

だが私たちでは理解も追いつかなかったしハッキリ言って必要な魔力が

どう考えても足りなすぎる。


勇者は私を見張りだと思っているらしい。

ソレは当たっている。

神殿の枢機卿たちは彼に同情もしてはいるが老聖女さまに手出しするようなら

対処するようにと命じてきた。

勇者に私が対抗できるとでも思ってるのかね? 

どう考えても無理だと思うんだが……


でもまあ、老聖女さまを逃がすくらいはできるかもしれない。

勇者は私を撒こうとしたがスキルの恩恵のオカゲで逃げられずに済んでいる。

鬱陶しいだろうがコッチも仕事だからな。


老聖女さまの故郷についても聖女さまは留守だった。

ココで隠棲されるハズだったのに一週間もしないうちに

お出かけになられたとは……


故郷に帰るというのは神殿から出る為の方便だったのだろうか? 

足取りはフラフラと目的など無いかのように不安定だ。

なんだか何かを探しているかのようでもある。

もう限界だからと引退されたハズなのに魔獣を退治してるってどういうコトだ? 

行く先々で信徒だけでなく人々に治療を施されてるって……


勇者のイライラは募っている。

今朝は老聖女さまをババァ呼ばわりしてやがった。

見つけたら……どうなるんだろう。

老聖女さまへの無体だけは阻止しなければ……

私も勇者に同情していないわけではない。

でも、引退されたとはいえ老聖女さまはかけがえのない方なのだ。


ある日、老聖女さまの足跡を見失ってしまった。

このまま見つからないほうが良いのかもしれない。

でも、、勇者の嘆きは胸をえぐるようだ。

見つけて帰れないことが確定したときが怖いが見つけた方が良いかもしれないと

私の気持ちまで不安定になっていく。


老聖女さま……どこに行かれたんですかぁ? 

出てきてくださいよぅ。

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