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4・老聖女。

 妻には一目惚れだった。

美人というよりは可愛らしいほうだろう。

笑顔をもっと見ていたいと思ったんだ。

ただそれだけだった。


なのにこんなに遠く離れている……

ジリジリと焼かれるように苦しさと切なさが溢れてくるが

どうしようも出来ずにいる。

どこにこの苦しさをぶつければいいのか……


あの横柄な宰相でも置物のような王でも神殿の神官どもでも多分ダメだろう。

老聖女が見つかったら俺はどうするだろう。

怒鳴ってしまうかもしれない……

殴ってしまうかもしれない……

それでも見つけなければ……

帰る手立ては彼女が持っているハズなんだ。

殺してしまわないように自分を抑えなければイケナイ。


ドラゴンの相手よりシンドイかもしれないな。


ドラゴン退治で一緒だった神官の一人がまるでお目付役のように付いてくる。

「私が一緒なら老聖女さまも探しやすいと思います。

アナタには感謝してもしきれませんからね。

ガイドが付いてると思ってください」


鬱陶うっとうしいヤツだ。

いてやろうとしてはいるのだがなぜか振り切れない。

何かスキルでも使ってるのかも知れない。

対処が無駄なら放置しておくか……

俺の邪魔はさせない! 

なにがあっても妻の元に、彼女の所に帰るのだから。


老聖女の足取りはアッチへフラフラ、コッチへフラフラとまるで目的地が

無いかのごとく不安定だ。

ババァのくせに頑丈らしく行く先々で魔物を退治したり治療をほどこしたり

しているらしい。

引退なんかしなくても良かったんじゃあないかとさえ思えるんだ。


これだけハッキリ足取りが分かるのに追いつけないのはナゼなんだろう。

お目付神官と同じように何かスキルでも使ってるのかもしれない。

召喚されたときに確かにアノ場所にいたけれど消耗しきっていたようで

さっさとお付き達に運び出されてしまった。

あれから一度も老聖女とは会っていない。

見つけたとしても初対面な感じだろうな。


絶対に見つけるという決意をもって探していたのだがあるとき足取りが

消えてしまった。

捜索範囲を広げても少しの痕跡すら見つからない。

なぜだ? 


俺が帰るためには老聖女の知恵と知識と力が必要なんだ。

絶対に見つけなければイケナイんだ。

邪魔するならドラゴンと同様に始末してやるゾ! 

出てこい! ババァ! 逃がしゃしねーぞ! お前だけは絶対に! 


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