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39・友達。

 三年も経つのにケンタはあまり成長していない気がした。

聞けば向こうの世界では1年しか経っていないと言う。

一年か……なるほど……八歳ならこれくらいでも普通だな。


勇都が付いて来ていた。

なんだかオレを警戒している気がするのは気のせいだろうか? 

ケンタは孤児院の友人達が成長しているのを見て驚いていた。


「オレが一番チビになっちゃったよ。

三年も先に行ってるなんてズルされたみたいだ。

オレやっぱりココに残ってればよかったかなぁ」


「お前はオレとリンゴの子で所属は向こうの世界なんだ。

ココへは七日だけの許可しか頂いていない。

また来られるかどうかも分からないんだ。

ちゃんと友達とつきあってこい」


ケンタは頷いて友人達と走って行った。

小さく見えるようでも勇者なせいか三歳位の年の差はモノともしないようだ。


「次があるとは保証できないが友人との思い出は必要だろう。

オレの世界とココでは時間の流れが違うから来られない間にお前達が老人に

なる可能性もある。

できるならコレで終りにしたいところだがな」


勇都はケンタのために来たくも無いこの世界にきたのか。

まあ、そういう気持ちになって当然だろう。

リンゴは健康を取り戻したんだろうか? 


「完璧とは行かないが日常生活に支障が無い程度には回復した。

健太が彼女の支えになってくれている。

本人が望んでも健太をココに居させることはできない。

リンゴのために……」


離婚の話はどうなったんだろう? 

リンゴがあれほど頑なに望んでいたんだ。


「一度離婚した。

健太はリンゴの元に置いたんだ。

そうしてあらためて彼女にプロポーズしたんだ。

離婚経験者で子供も居て前の女房にいまだに未練を持ってるカッコ悪い男だが

結婚して欲しい……とな。

オーケーをもらうまで暫くかかったよ」


オレに向かってではなくコルナス神官に向かって話す勇都。


やっぱりオレは無視したいヤツなんだろう。

それだけのことをオレはしてるしな。


リンゴがそれで納得して三人で幸せならオレの出る幕など無い。

ケンタはやっぱり親の側に居るべきだろう。

ちょっと良くしてくれた田舎のオジサンくらいがオレの立ち位置だろう。


リンゴの木の木陰から友人達と遊ぶケンタを眺めている。

勇都とリンゴの子……オレの子供だったらと思ったこともある。

それでもアイツはオレのモノではないのだ。


オレのモノ……

オレのモノなのはこの実家と畑とこのリンゴの木……だな。

リンゴが植えていったリンゴの木。

勇都もコレを切ろうとは言わない。

リンゴが植えたモノだからだろう。


 

そうして勇都とケンタは帰って行った。

もうこれで最後だろうと思ったんだ。

だがケンタはまたやってきた。

六年後だったがな。

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