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37・帰村。

 ケンタは孤児院のガキどもとほとんど兄弟のように育った。

連中と一緒に遊び食事をし眠った。

それでも皆ケンタが「特別」なヤツだと感づいていたようだった。

まあ、遠慮なんかはしてなかったけどな。


迎えにきた父親に「初めまして?」なんて言ってたのはなんだか可笑しかった。

一緒に行くことを渋るなんて思ってもみなかった。

必ず親達が迎えに来るからと何度も何度も教え諭して来たのに。


孤児院のガキどもは親が生きてて迎えにまで来てくれたんだからと説得してた。

こんなことは滅多に無いことだからと。

親に捨てられた子も居るし親がもういない子もザラだからな。


オレが渡した魔石を持って勇都と一緒に消えてゆくケンタを見送った。

オレはもうコレでお役御免だな。

泣き虫ケンタはいつでもどこでも我慢なんかしないで泣く子だった。

泣き疲れて眠るまでずっと抱いて背中を叩いてやっていたんだ。


オレのケンタ……

オレの……もうオレのじゃあないんだな。

いや、最初から「オレの」なんかじゃあなかった。

リンゴと同じで二人とも勇都のモノだったんだ。


七年は長かっただろうか……短かったような気もする。

泣きそうな顔で消えていったケンタを忘れられるだろうか……

……多分、出来ないと思う。


アイツは泣きそうだったが泣かなかった。

泣かない泣き虫ケンタなんて……なぁ……


勇都のお供に付いて来たという少年はまた会えるように計らってくれると言った。

でももう住む世界が違う。

来ることが出来てもどうも時間の流れ具合がココと向こうでは違うらしい。

それに勇都が来ることを許すかどうか……


ケンタが行くことでリンゴの体調が良くなることを祈るくらいしかもう

オレに出来ることは無い。

もう魔石を集める必要も無くなってしまった。

神官戦士として冒険者を続けて来たのは勇都がケンタを迎えに来た時のためだ。

役には立たなかったがな。



 オレは実家のある村に帰ることにした。

畑は村長が小作していてくれたから荒れてもいない。

もう一度農民に戻れば良いだけの話だ。



 ノンキな農民に戻ろうと思っていたロブさんでしたが優秀な「神官戦士」を

誰も放っておきませんでした。

神殿も冒険者ギルドも王宮の貴族達も。

依頼が途切れないのでノンビリ農民をしてられないみたいです。

お気の毒さまでーす(笑。)

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