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36・帰還。

 息子の説得に成功したのはロブでもコルナス神官でもなかった。

孤児院の友人達だった。


「オレなんかもう親はどっちも死んでるからな。

生きててわざわざ遠くから迎えに来てくれたんだぞ! 

こんなイイコト滅多に有るコトじゃあない。

羨ましいし寂しくなるけど行ってこい! 

ロブの心配は要らねえさ。

オレ達が父ちゃんに任命してやるからな」


ロブは息子の面倒を老聖女とともにみていたようだ。

老聖女は半年ほど前に死んだと聞いたが息子は懐いていたそうだ。

あの老聖女のせいで色々あったが息子に免じてもう水に流すことにした。

死んでるし……


ロブ……いまだに許す気にはとてもなれない。

息子が懐いている様子を見るとソレはオレの、父親の立ち位置だ! と思う。

連れて帰ればロブになにかダメージが入るだろうか? 

いやロブのことなんかより息子とリンゴのコトを考えるべきだろう。

アイツのことなど無視だ! 無視! 


「今すぐとはいかないと思いますが健太君にまたこの世界を訪問させることも

出来ると思います。

まあ、神様方の許可とか転移に都合のイイ時期とか有るので簡単とは行きません。

でも友達にまた会うくらいは可能ですよ。

ロブさんにも神官様にもまた会えるように計らいましょう。

大丈夫ですよ」


オレがロブ達に何も言わないのでお供に付いて来てくれた少年勇者が連中を

取りなしてくれた。

健太がロブやコルナス神官を慕っている所をみるとちゃんとソレナリの愛情を

注いでくれたのだと分かる。

でも、コルナスはともかく……ロブに感謝など出来ない! 


嫉妬していると自覚してもソレは誰にも知られる訳にはいかない。

父親はオレだ! ロブじゃあないんだ! 



 3日ほどの滞在で息子と共に元の世界に帰還できた。

ロブは山のような魔石を出してきた。

どれも選りすぐりだと分かる高品位のモノだった。


「さすがにドラゴンの魔石まではオレじゃあ準備できなかった。

でも前回は魔力総量が足りなかったから少しでも補えたらと集めたんだ。

まあ、あのドラゴンの魔石が手に入ったから足りるとは思うんだが」


ココでは七年が過ぎていると言う。

オレの世界では2年でしか無かったが……

健太を迎えにオレが来た時の為に集めたのか……


でもあの「魔王さん」が用意してくれた魔方陣はそれほど大量の魔力を必要と

しなかった。

転移のための魔石もちゃんと準備してくれたのだ。

……ソレは必要無いと言うのはなんだか気が引けた。


ロブは少し残念そうな顔をしたが一番高品位のモノを選んで健太に渡した。


「お前の母さんの世界は魔法が無いって話だからコレを持って行っても

ムダかもしれない。

それでも何か上げたくてな。

こんなモノでスマンが持って行ってくれ」


あれだけ高品位の魔石ともなればタダの魔獣だったハズはない。

ロブが苦労して集めたモノなのは確実だ。

でもソレは必要ではなかった……


オレは何か礼を言うべきだっただろうか

でも言えなかった。

ほんの少し頷いてみせることが出来ただけだったのだ。

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