34・説得。
息子は大きくなっていた。
でもどう見ても七・八歳にしか見えない。
まだ二年しか経っていないはずなのだが・・
オレ達の世界とココでは時間の流れ具合が違うのだろうか?
まあ、ソレはオレが考えてもどうしようもないな。
息子は確かにオレとリンゴに似ている。
この子で間違いは無い。
なので話しかけた。
「遅くなったけれど迎えに来たよ。
待たせてすまなかったね。
お母さんが待っている。
一緒に家に帰ろう。健太」
「え~と……初めまして? お父さん?
僕はケンタです。
来てくれて有り難う。
ロブの言ってたことがホントで嬉しいです」
なんで疑問形なんだ?
まあ、初めましてって言いたい気持ちも分からないでもない。
いきなり現れて親だから一緒に来いと言われても戸惑っても当然だ。
それでもこの子はオレとリンゴの子なのだ。
絶対に連れて帰る! リンゴも首を長くして待って居るのだ。
ココで七・八年経っていて予想より大きくなっていようが関係ない!
絶対に連れて帰る!
そう思っているのが顔に出ていたらしい。
息子は少し怯えたような顔をした。
「あ、あの……僕、一緒に行かないといけませんか?
ばあちゃんは死んじゃったけどコルナス神官もロブも居てくれるし……
友達も居るんです」
ココに来るのに向こうの時間で二年も掛かったのは持って行ったドラゴンの魔石
とオレの魔力だけでは魔力が足りなかったのだ。
だがあの世界には魔法は存在しない……しないことになっていた。
だから魔力を集める方法から探さなければならなかったのだ。
解決してくれたのは高校生の少年達だった。
彼等も「勇者」で召喚された経験があるそうだ。
彼等と彼等の師匠の助力と老聖女のくれた魔方陣を解析してくれた怪しい男
「魔王さん」のオカゲで安全にココに来ることが出来た。
これで息子を連れて帰れると思ったのだが……
まさか息子本人から拒否られるとは思ってなかった。
ロブとコルナス神官は健太を説得しようとしている。
「リンゴはココの世界じゃあ生きていけない体なんだ。
お前を身ごもっていたからなんとか生きていられたがそうで無ければ死んでた。
でも帰るには魔力が足りなくてな……お前を置いて行かざるを得なかったんだ。
何度も教えただろう。
お父さんが迎えに来てお母さんの所に帰るんだって」
「うん……分かってるけど……
孤児院の友達たちは迎えなんか来ないんだよ。
僕だけ迎えが来るなんてなんだか不公平なようなズルイような気がして」
そうか……友達か。
老聖女やコルナスやロブに執着してるのかとも思ったんだが……友達か……
それでもオレはリンゴの所にこの子を連れて帰りたい。
帰らなければいけないんだ。
……リンゴの命が……あと僅かかもしれないのだから。




