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26・誓いの言葉。

 赤ん坊の父親……それは勇都だった。

そうコルナス神官に告げられた勇都は気が抜けたようにしゃがみ込んだ。

ホッとしたのか動転したのか良く分からなかった。

まあ、コレで問題は一つ解決だな。


それでもリンゴは離婚して欲しいと言う。

だが勇都はソレを認めなかった。

子供は二人の子だから二人で育てるべきだと言う。


離婚した場合ココでは子供は父親のモノとなる。

まあ、離婚自体がほとんど無いんだがな。

女性は誰かの保護下に居なければならない。

老人と未亡人はソレナリに権利を認められているけれど若い女性、

特に子供の産める年代の女性は一人で居ることは認められていないのだ。

父親、兄、弟そして夫。

男性の保護下に居るのが当たり前なんだ。


子供を手放すなどリンゴにできるだろうか? 

他人の子の孤児達にさえあんなに愛おしげにしていたのに……

自分の子供ならなおさら愛おしいだろうに……


勇都は結婚の時の誓いだと言う言葉を彼女に言った。


「汝を妻とし、今日よりいかなる時も共にあることを誓います。

幸せな時も、困難な時も、富める時も、貧しき時も、病める時も、健やかなる時も

死がふたりを分かつまで愛し、慈しみ、貞節を守ることをここに誓います」


二人で誓い合ったという結婚の誓い。

そうか……同じ言葉で誓い合うのか……

ココでは夫となる男がこの女はオレの保護下にいるのだから手をだすな! 的な

宣言をするのだ。

女はソレには何も言わない。

それまでの保護者の家族の男性が認めれば結婚は成立してしまうのだ。

まあ、必ず認めるとは限らないのだが……


それでもリンゴは貞節を守れなかったと泣きながら言う。

胸を抉られるように感じてもオレの口出しは悪手だろう。


老聖女とコルナス神官が彼女が望んだことではなかったからと諭した。

なにより子供のことを考えるようにと説得した。

そうだな……これは二人の「困難な時」だろう。

なにより彼女が勇都を愛しているのがオレにさえ見えるのだ。

居るべき所は子供の側で勇都の側なんだと思う。


結局結論を出さないまま二人の時が積み重なっていく。

ぎこちないそぶりの二人だが赤ん坊がソレを多少緩和していると思う。

少しずつ馴染んで行ければいいだろう。

急ぐのは良くない気もするからな。



 だが赤ん坊は「勇者」だった。

ソレは彼等の帰還に大きな影響を及ぼしたんだ。

結局オレは盗人ぬすっとをするハメになった。

勇者だったり盗人だったりするなんてなぁ……

他にも何かやらんとアカンことが起きそうな気がして頭痛がしてきたよ。

農民で狩人にはもう戻れないのかも知れないな。

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