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23・逃亡。

 オレが行商の男を見失ったのはやっぱり行商のコースを変えたからだった。

ゴルドベアに襲われたので験を担いだらしい。


「ドラゴンゾンビのせいで廻っていた村々がダメになってしまったんだ。

余計に今までのコースじゃあ商売を続けられなくてな。

今は街の知り合いの所で雇ってもらっている。

村々の連中が避難してきてるからな。

街の人口は増えてるんだ。

もっとも皆あまり金は持ってないんだがな」


それはそうだろう。

農村はほとんど自給自足だ。

金を使うのはコイツのような行商が来た時ぐらいだろう。

街に避難できただけマシかもしれない。

街で仕事を見つけられるとは限らないんだが……


彼女を買ったという奴隷商は引退寸前だったが老聖女に助けられたので彼女を

買い取って老聖女に譲っていたという。

ともかく彼等が向かったという街に行くことになった。


なんで老聖女は彼女を買い入れたんだろう? 

彼女を知っていた? 

だが会ったコトなど無いハズだ。

もし知っていたとすると召喚の時に「見えていた」ってコトか? 


「召喚が終わったら老聖女様は倒れられました。

そうして、もう魔力が尽きたからと引退されました。

でも、捜索で分かったのは魔力は尽きていなかったってコトです。

平民達を助けまくってましたからね。


リンゴ様に気が付いて居たなら探しに行かれた可能性は大きいです。

移動の軌跡がなんだかフラフラしてましたし」


一緒に居てくれるなら彼女の危険は小さくなるだろう。

一緒に居てくれるなら。


「目的の街はソコで良いんだな。

どれくらいかかるか分かるか?」


オレ達は馬で移動している。

馬車なら10日はかかるだろう。

だが馬なら5・6日だと思う。


勇都は気がいている。

平静なフリをしているのがオレでさえ見て取れる。

だが、何も言えないし言う気も無い。


彼女には会ってもオレはウザがられるだけだろう。

だけど詫びの一言くらいはいうべきだろう。

許してほしいわけでも無いし許して貰えるとも思ってはいないのだが……


母は彼女を気に掛けていた。

男にひどい目に遭わされた同士という気持ちだったかも知れない。

オレにできることなど勇者・勇都ができるだろうしすると思う。



 そうして街の神殿で老聖女と彼女を見つけた。

彼女はオレなど見ていなかった。

勇者を……勇都を見つめていた。


そうして持っていた駕籠を落とした。

それから走り出した。全力で! 

逃げ出したんだ! 勇都から! 

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