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19・金色。

 はぁ……

もう訳がわかんねぇよ。

なんだってオレが勇者なんだ? 

お話の勇者だってみんなお貴族さまだったぞ。

こんな農民のオレなんかが勇者でホントにいいのかねぇ。


神官のコルナスはガイドだと言い張ってるが多分神殿が勇者に付けた見張りだ。

オレの事も最初から警戒してたし勇者のことも神経質なほど気を使っている。

オレの素性は素直に全部バラしてあるのだが信用できなかったらしい。

立ち寄った街の神殿に連れて行かれて職業判定石を使わされた。

コレは石だが透明感のあるもので魔力を通すといろいろな色に発光する。


なんだかキラキラ感のある青い色だった。

だが色というよりはそのキラキラ感のほうが重要なんだそうだ。


「勇都さまは赤でした。

でも、あなたのと同じ金色が共に表れていました。

この金色が勇者の色なんです」


ふ~ん……金色……ね。

赤とか青ってのは意味あるのか? 


「赤なら普通は戦闘職ですね。

騎士・戦士その他武術に精通するでしょう。

青なら魔法を使うことに精通した職業ですね。

この街の判定石はレベルの高いものではないので詳しい職業が知りたいなら

もっと大きな神殿まで行かないといけません。

でも、あなたが勇者なのは間違いありませんよ。

金色が出るのは勇者だけですから。


勇者なら武術も魔法もなんでもこなせます。

色がでるのはそちらが特に得意になる可能性が高いということです。

武術だけ・魔術だけってことはありませんよ」


そうするとあれだけの魔法が使える勇都でも得意なのは武術だってことか。

稽古をつける時も剣とか槍なことが多いのはそういうことだったんだな。


「コイツが見つかってさえ居れば!」


勇都のいうことももっともだが今更どうしようもないのも確かだ。

オレを殺して気が済むならそれでもいいが多分気は済まないだろう。


「……お前は殺さない! 

二度と召喚をしないようにココの勇者の役目を果たせるようにする。

死んだ方がマシだと思うほど相手をしてやるから覚悟しろ! 

彼女が見つかるまでだがな」


うげぇ……

兵士の時の班長のジジイも鬼畜だと思ったがコイツも鬼畜なんだよなぁ。

まあ、オレに稽古をつけることで多少でも気がまぎれるならそれもイイか。


神官・コルナスが初級の魔法を教えてくれた。

最初の発動は手こずったが後は思った以上にスイスイとすすんだ。

聖魔法もコルナスほどは効率が良くないがなんとかできる。

道々ドラゴンゾンビが瘴気で穢した土地を清めていった。

清めても作物ができるようになるまでは暫くかかるとコルナスが言う。

神殿の神官を全員動員して清めても何年もかかるとも……


それでもドラゴンゾンビはもう退治された。

あとは地道に清めて廻るしかないな。

勇者の仕事はもう終わったようなもんだ。

オレが勇者でももうすることなど残っていない。


勇都がイラつくのもその辺りかもしれない。

ともかく勇都の妻・リンゴを見つけなければ……

軍の情報は行商のアイツはゴルドベアに襲われたが聖女に助けられている

ということだった。

きっとリンゴも無事だろう。

コルナスはそう言って勇者を慰めている。


オレは何も言えない。

言えずにただ勇都を見つめている。

それしかできなかったんだがな。

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