サッチス村の災難
「昼過ぎ頃じゃったかのう。近くの森で火柱が立ったのじゃ。
それはもう恐ろしいほどの火の勢いじゃったと目撃した村の者も言うておる。」
(ふむ。)
「この村ができて以来、近くの森に火柱があがるなんてことはなかったのじゃが。
供え物を忘れてしまったことで、女神フレイア様の怒りにふれてしまったのであろう。」
(・・・あ。)
「運よく、通り雨が降ったことで、森の火事自体が治まりはしたのだが、
フレイア様の怒りを鎮めんことには、またいつ火事が起こるかわからんからの。
恵みの森が焼けてしまうと我らの生活もままならん。
それで村の者たちで悩んでおったということじゃ。」
「あー。それは大変ですね。頑張ってください。
では、私たちはこれで失礼します。」
お辞儀してその場を立ち去ろうとするナモミ。
「ナモミ、ちょっと。」
ナモミの肩に手をかけ、耳打ちするローズ。
(どう考えてもあんたのフレイム事件のことやろ?)
(たぶんな。このままここにいて、ばれたら八つ裂きにされていけにえとして吊るされるだろう。
間違いない。だからあたしは立ち去る。
そっちの兄ちゃんも言ってたじゃん。悪いことはいわん立ち去れって。)
(あんたマジか。)
「・・・あの、おじいさん。良ければ神様の怒りを鎮める役目、
私達にやらせていただけないでしょうか?私は薩摩スミレと申します。
従者達と各地をまわりながら、神に祈りをささげる巫女のようなことをやらせていただいております。
もし、フレイア様に捧げものをする場所まで連れて行っていただけるのでしたら、
私が皆の気持ちを代弁して祈りを捧げさせていただきます。」
「おお、本当でございますか、巫女様だったとは。
ケガの功名とはまさにこのことですな。」
「おい、お前たち、巫女様と従者様たちを宿へご案内しなさい。
巫女様、今日はもう遅いし御疲れでしょう。祠へは明日村の者たちがご案内致しますので、
ご祈祷の方は明日お願いできますでしょうか。」
「わかりました。お心遣い感謝いたします。」
「みなさん、こちらにどうぞ。」
村の若い女性が宿へと案内する。




