武器(仮)
「フレイム!」
スミレの放った火の玉がスライム目がけて飛んでいく。
次の瞬間にスライムが後ろに吹き飛ばされる。
「待ってた、でっと。」
ローズが、飛んできたスライム目がけて正拳突きを放つ。
スライムが砂になって消え去り、ガルが辺りに散らばる。
「いいね、二人ともGJ!回収、回収っと♪」
フォセカが嬉しそうにドロップしたガルを集めている。
「いやー、なんかすみませんねぇ。戦ってもらって。あ、今のでレベル上がったわ。7になった、7に。」
心無い感謝を述べるナモミ。
「ほんまやで、ナモミ。あんたが装備揃えてたらもうちょっと楽やったかもしれへんのに。」
ローズがため息をつく。
「あれは、あのアイス屋のおっさんが悪い。
色のないアイスをあそこまで美味しそうに見せるディスプレイの仕方、只者ではない。」
「はいはい。その話はもうおしまいにしましょう。過ぎたことを悔やんでも仕方ないです。」
スミレが仲裁に入る。
「でもさでもさ、あたしたちのパーティ結構バランスよくないかな?」
フォセカがさらに続ける。
「ローズは武闘家でしょ~、スミレちゃんがアタックウィザードでしょ~、んであたしがヒールウィザードだもんね。」
「ローズさんは学校にいたときも体術の授業ではいつも一番でしたものね。」
スミレが胸のあたりで手を合わせながら微笑む。
「お前ら二人も頭よかったからなぁ。もうちょいちゃんと授業聞いとけばよかったなぁ。」
ナモミが気だるそうにため息をつく。
「そういえばさ、ナモナモって職業は何なの?」
フォセカが首をかしげる。
「あたしは生まれた時から今までも、そしてこれからもドリーマーだ。」
「またあんたはそんな意味のわかんないことを・・・。」
ローズがまたため息をつく。
「とはいうものの、武器は必要だよな・・・。」
「・・・。」
ナモミが無言で地面に落ちている太めの白い枝を見つめる。
「よし、これで行くわ。」
そういって落ちていた枝を拾うナモミ。枝の色が白から茶色に変わる。
「ええ、ナモナモそんな枝じゃすぐ折れちゃうよ~。」
「いやいや、お前馬鹿だな~。これがただの枝に見えちゃってるの?
頭いいのに馬鹿だな~。これあれだよ。歴史の授業で出てきた聖剣ユグドラシルだから。
見た目に騙されているようではまだまだだな。笑止。」
「何が笑止だ。バカはあんただ!」
「皆さん。モンスターが!ああ、ナモミさん危ない!」
スミレが叫ぶと同時に石斧を振りかざしたゴブリンがナモミに向かって飛び掛かる。
「ナモナモ!」
「ナモミ!」
「ふんっ!」
ナモミが枝を縦に振ると飛び掛かってきたゴブリンが弾けて砂になり、ガルが辺りに散らばった。
「・・・ほらな。」