ファミレスで大笑いしている女子高生の会話は大体面白くない
ガールズサイドの短い話となっております。
主観は誰やねん、という声が聞こえますが、大目に見てください。
男二人が帰った後のファミレスの店内では、まだ女性陣が各々のドリンクバーの飲み物を片手に談笑を続けていた。かれこれ入店から二時間はいる、だんだんと客足が途絶えてきているため、店員からの催促はないようだ。
「そういえば、しのちゃんは、どうして、けーいちと知り合ったの?」
「しのちゃん?」
「篠田ちゃんだから、しのちゃん、ダメだった?」
「ううん、いいの、急に言われたから」
篠田さんは、嬉しそうに頬を緩める。
転校初日に、あだ名で呼んでもらえるのは嬉しいことだろう。
「それで、啓一との出会いが気になる」
「そうね、櫻木君がどうやって、また女の子を釣ったのか気になるわね」
「え、えっと」
篠田さんは、先日のことを思いだし言い淀んでしまう。
「あら、そんなに言いにくいことだったのかしら」
「いえ、そういうわけじゃ」
「啓一が、悪いことした?」
「ううん、むしろ逆っていうか」
「も~、しのちゃん焦らさないで、言ってよ~」
「いや、ただ、春休み中に色々あって、助けられて、それで、色々あったことは聞かないでほしいかな」
それを聞いた女性陣は、なぜか残念そうにしている者、予想通りだと表情を変えない者、納得して笑顔を浮かべる者、反応は三者三様だった。
「まあ、そうでしょうね、今の櫻木君が悪いことをするなんてありえない話よね」
「啓一は、お節介だから」
「けーいちも、優しいところは小さいころから変わらないなぁ」
それに比べて、春休みのエピソードを渋々話した篠田さんは、詳細を聞かれず安心の表情を微かに浮かべる。
「そういえば、聞き捨てならないことを言ったわね」
「へ?」
場の空気が一度は下がったであろう藤堂先輩の冷やかな一言が、篠田さんに、緊張感を与える。
「ほら、櫻木君と春休み中にあったのでしょう?櫻木君は帰省中だったはずよ?」
だが、そんなことかと、すぐに緊張は呆れに変わる。
「あちゃ~、ばれちゃったかぁ」
「千春、何か知ってるの?」
「いやぁ、ばれちゃったなら言うけど、けーいち、春休み中ずっと家にいたよ」
それを聞いた藤堂先輩は、悲しみの表情を浮かべるのではなく、笑っていた。
「あら、そうだったのね、ネタとしては弱いけどデート一回くらいはさせなきゃ、嘘をつかれた私たちの割に合わないわね?」
「美紗樹先輩、いいこと言う」
「私も、賛成!」
急に、三人の会話になり、篠田さんは一人置いていかれ、遠い目で三人を見る。
しかし、藤堂先輩の一声で引き戻される。
「篠田さん、急だけど私たちの部活に入る気はないかしら、答えは急がなくていいわ、ただの勧誘よ」
「は、はぁ、わかりました、考えておきます」
篠田さんの答えを聞いた藤堂先輩は、一泊おいてからおもむろに伝票を手に取った。
「さて、そろそろ帰りましょうかね」
年功序列か、年上の一声でこの場はお開きとなる。
会計を終えて、ファミレスを出ると、各自、自分の家の方向へ解散となる。
別れの時、誰かがそっと呟く。
「これから、デートにゴールデンウィーク、楽しいことが起こりそうね」
誰が呟いたのか答えを言うのは、意味のないことだろう
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