絶望的な第一印象
未定とは昨日の話、次の日に投稿しないとは言ってない
「君、大丈夫?、の前に、一応聞くんだけどさ、レイプされる願望とかあったりした?あったら謝ります、ごめんなさい」
「あ、あるわけないじゃないですか!」
彼女はあらぬ疑いをかけられたためか憤慨している。
まあ、無礼だったことは認めるけれど万が一があるかもしれない、その時は申し訳ないじゃないか。
「ごめんごめん、ていうか、そのまま、その恰好でいられると目のやり場に困るし寒いでしょ、これよかったら着なよ」
そう言い、俺は羽織っていたパーカーを手渡す。
実際、彼女は下着姿でいられると正常な思春期男子なら興奮しない要素はないと言えるほどスタイルはよかった。強姦魔が彼女を狙った理由がわかった。
「あ、ありがとうございます。それと、助けてくれたのも、ありがとうございます」
「うん、いいよいいよ、なんか、助けてあげたい気分になっただけだから、それと、それ、あげるから、こんな裏路地なんて歩いてないでまっすぐ帰りなよ」
と言い残し、愚妹のためのアイスが本格的に溶け始めたので帰ることにした。
「あ、あの」
しかし、呼び止められてしまう。まあ予想の範囲だ。
「もしかして、そうなっちゃってるし一人で帰るのは恥ずかしい感じ?」
と、俺は彼女の足元に溜まっている液体を目線で指した。
「ち、違います!!」
結構な声量で、顔を赤らめながら怒鳴る彼女に、ニヤケ顔でひるんでしまう。これは予想外であった。
「あの、私、この春この町に引っ越して来たので土地勘がないんです。それに、まだ一人でいるのが不安で、、、」
「はぁん、なるほどね、わかった、送るよ」
「え、いいんですか、私、図々しいですよね、でも、お言葉に今は甘えさせていただきます」
「別に気にすることじゃないさ、このまま君をここに置いていくのは可哀想だしね、こいつらが起きる前に、行こうか」
そうして、彼女と二人、裏路地を抜け目的地へと進んでいく。
ふと、後ろで俺の後を付いて来ている彼女に目をやった。彼女はやはり失禁したことを気にしているためか、俺のパーカーの後ろを引っ張りながら歩いている。彼女は小柄なので俺のだぼっとしたパーカーを羽織れば隠れるのだろうけど不安なのか引っ張っている。彼女は、百人にかわいいか問えば、満場一致で
かわいいと答えるだろうと思えるほど可愛らしい顔つきをしている。その顔で少し恥ずかしながらパーカーの後ろを引っ張る姿はなんとも愛らしい。
「あの、、、なんですか?」
じろじろ見ていたためか気づかれてしまった。
「いや、君はかわいいなぁ、と思ってね」
「ふぇ?!そ、そんなからかわないでください!」
からかって言っているつもりはないのだが、そう思われてしまっては仕方がない。
黙った空気が嫌いなのか彼女から口を開く。
「あ、あの、つまらないことをお聞きするのですが、ああいう喧嘩とかって慣れているのですか?」
「まさか、喧嘩なんて小学校以来だよ」
「それにしては、慣れているような気がしたのですが、、、」
「まぁ、それは、ちょっとね」
笑ってごまかす。先程まで中二病系のアニメを見ていたし、それまでは「虎が如く」なんていう任侠物のゲームをやっていたからね、なんて言えるわけがない。
とりあえず、話題の転換をする。
「こんな時期に引っ越しということは、ここらへんの学校に転入する感じなのかな?」
「あ、はい、そうなんです」
「へぇ~、そうなんだ、別に答えたくなかったらいいんだけど、どこの中学校に通うの?」
「あの、中学生じゃないです、この春から高校二年生なんですけど」
「あ、そうなんだ、ごめんごめん、てっきりね」
「いや、いいんです、よく中学生に間違われますし」
全然良くなさそうな口調である。
しまったな、地雷を踏んでしまったようだ。
「あの、それで、どこに向かっているんですか?どんどん住宅地に来ているようですが、、、」
「ん?俺の家だけど?」
「へ?」
「お、そんなこと言ってたら着いたな」
「ちょ、ちょっと!」
彼女の制止に耳を傾けず、俺は自分の家の玄関へと向かう。
「ただいまー、朱里ー!ちょっとこーい」
「ちょっと、ちょっと、何やってるんですか?」
「ん?だって、君をその恰好で帰らすわけにはいかないだろ?」
逆に、なんのために俺の家まで来させる必要があるのだろうか。言っても彼女は納得した表情を見せない。
すぐに、二階から愚妹がバタバタと階段を下りてくる。
「何?急に呼び出して、つまらないようだったら承知しないからね」
「詰まる話だろうから、朱里、ちょっと悪いが、パンツと、スウェットとか何でもいいから穿けるもの貸してくれ」
「はあ?なんで兄貴にパンツなんて貸さないといけないんだし、死ね、シスコン!」
この通り、妹は俺に対してあたりが強い、小さい頃はかわいいやつだったのに、時というのは残酷なものだな。ただ妹のパンツと穿くものを貸してくれと頼んでいるだけではないか。
「おいおい、誤解するな、君、入っていいから説明してやってくれ」
「あ、はい、って着替えを頼んだ覚えはないんだけどな」
「誰?」
「俺も詳しくは知らん、そこんところも自分で聞いてくれ」
それからは、早かった、事情を聴いた妹は自分の部屋に連れ込み、簡単な服装に彼女を着替えさせた。それから、結局俺が、彼女の家の近くまで彼女を送った。意外と、俺の家からさほど遠くなかった。ひと段落つき、自分の家に戻ると妹がリビングのソファで俺の帰りを待っていた。先程、俺が買ってきたアイスを食いながら。
「なぁ、兄貴はあんなにかわいい子に声をかけられるようなキャラだったっけ?しかも、厄介ごとにまで首を突っ込んで、何がしたいの?モテたいの?死ねば?」
「相変わらず、口が悪いな、単なる気まぐれだよ、そしてこの年の正常な男子は頭の大半はモテたいで埋め尽くされてるんだ、だからモテるまで俺は死ねない、覚えとけ」
「まぁ、なんでもいいけどさ、とりあえず、この件は母さんには言わないでおいてあげるよ、兄貴の人助けに免じて、まぁでも貸し一ね」
「ああ、それは助かる、俺が喧嘩したなんて母さんに知られたら三か月は家から出られなくなっちまうよ」
それだけ言い残しリビングを去った。今日の風呂は一段と体に染みた。
それからの春休みは、特に何もイベントなどなかった。アニメ、ゲームに明け暮れる日々に、春休み最終日ななったら宿題に手をつけ終わらせるといった感じで、俺の高一の春休みは矢のように終わった。
「そういえば、この前助けた人って、この春から高二って言ってたし同級生だったのか、あの子、どこの高校に転入してくるのやら、アニメやマンガ、ラノベだったら、明日、偶然一緒の高校に入り、偶然一緒のクラスになり、偶然隣の席になって、再会を果たすんだろうな、なんかそんなことが起こる確率が天文学的数字に思えてきたよ、結局はフィクションだから確率なんて関係ないんだろうな」
なんて夢のないこと考えながら俺の春休み最後の夜が終わった。
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それではまた、次回やっと学校が始まります、ということは登場人物が増えます、まだ更新は未定ですが、お楽しみに。
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