喧嘩のあとで一番辛いのは食事だ
長く投稿せず申し訳ありませんでした。
急ぎで書いたので誤字があるかもしれません、見つけたらご指摘いただけたら幸いです。
突然だが、マンガやアニメで、主人公がボコボコにされた後、次のページ、次のシーンになると全快している。というようなシーンは見たことはないだろうか。
あたりまえだが、あくまでもフィクションの中での話だからであって、現実であり得るはずがない。
そう、転入生を助けるようなフィクションの中の主人公みたいなことをしても、食らったパンチの痛みはすぐに消えるはずがない、ましてや、傷跡もキレイさっぱりなんてこともない。
俺は、おととい、転入生の篠田結衣をかっこよく(個人の見解です)助けた。その後、なんやかんやあって、篠田さんはレジャー部に入部した。俺は、これからまためんどくさいことに巻き込まれなかったらいいな、なんて思いながらもこれからのレジャー部に期待していた、転入生が入ったことで何か変わるかもしれないなんて。しかし、俺は平日の昼間から布団と愛し合っている。理由はある。それは、おとといの一件の後、風呂で寝落ちして風邪をひいて休んでいること。だが、今朝には平熱に戻り元気ハツラツの男子高校生だ。
では、なぜ俺が平日の昼間から布団との絆メーターを高めているのか。
それは、昨日の話に戻る。
風呂で寝落ちして風邪を引いた俺は、無理に朝早くに体を起こして学校に休みの連絡を入れた。その後、朝早く起きたことだし、朱里に朝飯と弁当作ってやろうと思いキッチンに立った。しかし、キッチンに立った俺は、シンクで手を洗い、何を作ってやろうかと考えていた。しかし、一向に答えが出てこない、頭のもやもやが邪魔をする。眉間あたりが痛くなってくる、次に後頭部、頭痛だ。眩暈もする。そして、急な眠気が俺を襲う。俺はそれに対抗する力はなかった。
目を覚ますと知ってる天井が広がっていた。十六年間住んでいたらわかるものだ、ここはリビングのソファの上だ。
なぜ、こんなところで寝ているのか、考えに耽ようとしたとき、横から知っている人の声がかかる。少し懐かしい声だ。
「やっと起きたのね、心配したんだから」
慈愛に満ち溢れている顔をした母さんがキッチンの方からやってくる。
「母さん?」
「そうよ?他の誰だっていうのよ」
「で、でも母さん、仕事は?」
そう言うと、母さんの顔が曇る。悲しい顔だ。
「子供が警察のお世話になったと聞いて飛んでいかない親がどこにいるのよ」
「ごめん、心配をかけて」
事実、警察のお世話にもなっている、それを朱里が報告したのだろう。ちなみに、母さんが仕事をしているのは外国だ、そこから飛んできたのだから、ずいぶんと心配をかけてしまったようだ。子としては、親の悲しむ顔なんて見たくない、ましてや、痣だらけの顔なんて見せたくない。
「いいえ、許しません。これで何回目だと思っているの?」
え、許さないの?
「それは……」
「罰と言っては可哀想だから、反省の態度として、母さんの取った一週間の休みの間、家にいなさい」
喧嘩したから自宅謹慎ですか。これはまた厄介な。
「でも、学校は」
「そんなの家庭の事情とか、流行り病と言えばいいでしょ?」
ああ、慈愛に満ち溢れていたと思っていた母さんの顔が、引きこもりの道へと誘う悪魔にも見えてきた。
「勉強だって…」
「千春ちゃんに教材持ってきてもらいなさい、それが嫌なら、母さんが書店で買ってくるわ」
母さんの言っていることは、詭弁だとはわかっている。でも、母さんに心配をかけた俺には強く否定することができなかった。
「わかったよ、学校は休むよ」
その時見た母さんの顔は、嬉しさに染まった顔なのか、悲しさに染まった顔なのか、久しぶりに見た母さんの表情はわからなかった。
ということで、俺は平日の昼間であるのに布団のカビになっているわけである。
久しぶりに母さんと暮らすのは、意外と嬉しいものだった。自分の料理の腕前がどれだけ上がったこととか、最近の学校でのことだとか、ゆっくり母さんと話す時間もつまらなくはなかった。だがしかし、暇である。夜は佐久間と他愛もない話をメッセージアプリで交わせば時間はつぶれるが、みんなが学校に行っている時間は暇で暇で仕方がない。案外、俺は寂しがり屋なのかもしれない、なんて思えてくるほどである。
そんなとき、ピンポーン、と玄関のドアベルの音がする。
母さんは買い物に行っていて、出るのは必然的に俺になる。
誰だろうか、こんな時間に、朱里にしては学校が終わるの早すぎだし。
「今出ますよ、は~い」
玄関開けたら、サトウのご〇ん。なんてことはありえず、そこには、レジャー部の面々が立っていた。
「来ちゃった」
先頭の藤堂先輩があざとく小さく「てへっ」なんて言いながら、そこに立っている。
「来ちゃった、じゃねぇわ!」
「あら、冷たいわね、せっかく心配して午後の授業をさぼってきたのに」
「そう、啓一、私も心配だった」
「私も心配だったんだよ~!」
「私も、心配でした」
そうか、なんか面と向かって心配だと言われると恥ずかしいな、それに篠田さんが三人の会話に続いて入ってくるのは、なんだか新鮮だな。けど、学校はさぼるな?特に千春、バカなんだから。なんて口には出さない。
「俺が提案したんだぜ、そう思ったら、俺が一番啓一を心配してたってことかな?」
黙れゲイが、ニヤニヤしながらこっちに近づいてくるんじゃない!勝手に人の家に入るんじゃない!
それに続いて他のみんなも家に入っていく。
おいおい、ここはアメリカでホームパーティをやってるわけじゃないからな。
こうして、レジャー部の面々は、家の主の俺の許可なく、ずかずかと家に入っていった。
なぜだか、迷惑だと感じつつも顔は先程までの暗い顔ではなかった。
前書きでも言ったとおり、長く投稿を休んでしまい申し訳ありませんでした。
これからも読んでいただければ幸いです。
では、ここからはいつもの。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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