地上最後の男
俺は、輝く様な発達しきった街をぼんやりと見下ろしていた。
背中の方向にあるクイーンサイズのベッドには、
ついこの間までは俺など見向きもしてこなかった様な、
凄まじい美人たちがあられもない姿で眠っている。
そりゃそうだ…俺は地上最後の男なのだから今では当たり前の事だ。
他の男たちは…全部殺した。
ビカサインEK408…
俺が開発した人間の男の遺伝子配列に反応して、
細胞を石灰化する悪魔の病原体でだ。
死に方も悲惨だが、どうせ死ぬには変わりない。
要はどれだけ死んだかだが、性別で男なら半年もしないうちに死に絶えた。
どこかで遺伝子の反乱がおきて停まるかな?と思ったが、
時間が無かったんだろう…全くの創作物の病原構造なんで
遺伝子の情報をフルに活用して対策を打つまで行かなかったらしい。
ほんと、うまくいったもんだ。
勿論、俺も男だが、反応を回避する薬剤を飲んでいるから大丈夫。
しかし、病原体の構成は完全なものでは無くかなりの女性も殺したりもした。
所詮、いくら人工とはいえ生物だからイレギュラーは存在するからなぁ…
ま、それでも死んだのは男に近い遺伝子を持つ者や、
意外に多い男そのものの筈なのに女性として性を授かった者たちが大半だな。
ま、不細工が殆どだったから罪悪感はこれっぽちも無い。
それ以上に40億近く殺した俺として見れば鼻くそほどの事だし…
で、得られた結果はオールライト!
美人や体のスゲー姉ちゃんたちはほぼ漏れなく生き残ってるし
頭のいい行動力もある女性も不細工は別として普通以上ならちゃんと生き残ってるから
社会の維持はちゃんと出来ている。
ま、農業、漁業、林業なんて力仕事には多少不細工もいるようだが。
みんなが生きていくために働いているんだから、それは許容しよう。
美人薄命、色女は無気力って相場は決まっているからしょうがないだろう?
それに月に一度、何人か相手をしてやってもとくには構わない。
その為に彼女たちは命がけで仕事をして、高倍率の選択項目をクリアーしてくるからな。
なに、不細工でも俺の為に役に立っているなら精一杯相手してやるさ…
所詮、彼女たちにとって一生に一回の交尾だからな必死で奉仕してくれるし
何より俺もそれぐらいなら我慢できるし、
美食ばかりだと体が慣れておかしくなるから丁度いいかもしれない。
何といってもブスは三日で慣れるもんだし…
腹の出た脂ぎった学問にしか生きる世界が無かった俺にとって
この世界は、夢のような種馬生活ではあるが、流石に少しばかり女の相手は疲れる。
1年で1000人は流石にタフな俺でもなぁ~
相手にしてみたら一生に一回だから、一発でお終いってのは可哀想だし最低3回は…
って一年3000発か…
地上中のあらゆる贅沢も謳歌できるし、数限りない科学者によって健康も約束されてるし…
このぐらいはしょうがないかもしれないなぁ。
ま、アレだけはデカいし…何気に性欲だけは持て余すほど鬼の様にあるし…
実際の所今はまだ…腎臓も平気だ。
俺は、静かな寝息を立てている美女たちを見ながら
一日1っ杯だけよって、
これだけ女の相手しているのに特別な関係の幸子から決められたワインに口を付ける。
流石に体だけって関係は疲れるし虚しい。
心根の優しい女は精神衛生的にも必要だから他の女性も黙認してくれている。
嫉妬?は起きないな…何故かって言うと結構ありきたりな理由だ。
彼女は、俺でも流石に二の足を踏む様な何故生き残ったんだってぐらいの不細工だからだ。
体の関係は一切ないので彼女たちも目くじらを立てないのだろうなぁ…
俺が死んでも一応、男が滅びるまで絞りつくした冷凍精液がある。
なので人工授精で子供が出来るから、早晩に世界は終わらない事にはなっているんだけど、
男は生まれても俺の作った病原体は駆除不能で全世界に蔓延してい居るので
外の空気に触れたりしただけで死んでしまうから女性しか生き残れない。
流石に完全無菌室で精子絞るために男を飼うのは嫌だろう?
粘膜や皮膚、空気でも感染するから一生女相手できずに自家発電は辛すぎるからなぁ…
それは、仮に俺との子供が出来ても同じことが言える。
なにせ、病原体には俺が作った薬剤しか効かないしもうそれもこの世には無い。
材料となる物の一部が絶滅してしまったからだ。
しかし、いくら暫くは人類が維持できるからと言ってアレが出来ないのは
女性としても地獄ではあるんだろう。
それに精子だって人工授精での懐妊率から考えてもいつまでもある訳じゃないから、
現実に生きている限り精子を生産する俺は貴重な資源だから
味気ない受胎手術などを受けるより生き物らしくアレした方が彼女たちにもいいだろう?
トチ狂った女為政者が現れて、精液製造牧場作っても
アレが出来るのはどんなことをしても俺だけなのだから俺の居所は生きている限り
きっちり無くならないというわけだ。
命掛かれば90だってしっかり相手してちゃんと妊娠だってしてやるさ。
というわけで、
彼女たちは、女性特有の現実主義の下に社会を再構築し、
最短距離で俺のいる場所にアクセスできるように非常に高密度の国家を構築した。
勿論、地理的にも民族的にも相いれない思想もあるので他に国が無いわけでもないが
戦争など決して起きない。
「 相手してやるのやめるけど、いいのか? 」
と俺が一言いうだけで世界は沈黙してしまうのだ…真の世界平和はそれで成し遂げられた。
代償としては、
各国から恐ろしいほどの選抜を生き残って来たえりすぐりの美女たちのお相手だな。
年の半分は他国の女を食い続けているわけだ。
ある意味過酷な種馬生活じゃないか…アレがでかいだけで生きている当て馬みたいなものか?
最後まで相手はするけどさ。
それでも年に60日はちゃんと休憩できる。
温泉に行ったり、世界旅行とか…護衛と世話がかりが数珠つなぎで後には続けどな。
ナンパは出来ない…そういう決まりだからパートナーは護衛の女って事になる。
これは血みどろの争奪戦らしい…なにせ一日中俺と一緒だし
対価といて俺と濃厚な夜の営みを味わえるから必死だ…俺も5回は相手してやるしな。
というわけで、仕事でも休みでも結局アレが俺の存在意義だ。
まあ、それでもかまわないがな…
最近じゃあ、俺一人を何とか生かし続けるために必死の努力が行われ
医学の爆発的な発見と、凄まじい技術革新が同時に行われている。
俺が今22だからサルのようにさかってもまだ平気だが、
いずれ年齢と共にそれは落ちていくし、死んでしまったら彼女たちの絶望は計り知れない。
本当に夢のような不老不死、若返りさえも可能になるかもしれないと思えて来た。
足らないものには進歩があるって当たり前の原理が
この世界に恒久平和と人類の長年の夢を達成されようとしている…
ま、凄い話だが俺のやる事は一つだけ、
出来るだけ優しく沢山の女たちを抱いて、出来るだけ長く生き続ける事だ。
数百年後にはひょっとして事態が変わるその日まで。