5話ヒャッハァァカゲル君
意識が段々と鮮明になるにつれ
土と葉の臭いが鼻を刺激した
そして視界も徐々に良好になったところで見渡してみれば一面生い茂る樹々
クソジジィ…せめて転送するなら町に転送しろよ…
俺は森の奥深くに飛ばされたようだ
とりあえず立ち上がり
自分の状況を再確認する
服装 俺が元いた世界で来ていた普通のジャージ
持ち物…特になし
嘘だろ…こんな森の奥深くに飛ばしといて
ナイフの一本も持たせないのかあのジジィは…
そんなことを考えていると
頭の中に声が響いてきた
「フォッフォッフォ目が覚めたかね…カゲル君」
この笑い声は…
「おい…クソジジィ!これはどういうことだ!」
「どうかね?…初めての異世界は」
「最悪だよ…食料も金も武器も無いのにこんな森の奥深くに飛ばしやがって…俺を餓死させる気かッッ!」
俺の怒声が森に虚しく響いた
「まぁまぁ旅行にハプニングはつきものじゃ」
「旅行どころかこのままじゃ地獄旅行まっしぐらじゃねーか」
「お主は助けてもらうことばかり考えてないで
少しでも自分でどうにかしようとは考えないのか…」
ジジィはあきれた様子でいい放つ
「それにワシがなんのために能力を授けたと思ってるんじゃ…」
「そういや「盗む」能力を与えられたんだっけな…あまり実感は無いけど」
「まぁそういうことじゃ…後は言わなくてもわかるじゃろ…必要なモノは自分で調達したまえ」
「おい待て…せめて力の使い方を教えろ…」
「その「盗」の力は半径六メートル以内に入ったモノを盗むことができる能力じゃ」
「意外と間合いは広いんだな…」
「モノと言っても質量のある物質にかぎらず
相手の技を盗むことも可能じゃ」
「じゃが技を盗むには一つ条件がある
それは相手の技を視認することじゃ」
「逆に言えば視認できない技は盗めないからな…そして24時間経ったらその技は相手に返還される」
「他に盗めないものは
生物の命、なんらかの正式な契約を結んでいるもの(例えば奴隷や召喚獣)などは盗めないからの
他にも盗めないものは色々あるがそれは今説明する必要は無いじゃろう…」
「あとちなみに人の心を盗むのも無理じゃからな」
「それぐらいわかるわ!」
そう考えるとル●ンってすげーな…
このスキルを使ってもル●ン先輩に勝つことは不可能なのだろうな…
「あと「盗」の基本スキル目を盗むはちゃんと使いこなした方がええぞ」
「目を盗むって…眼球をえぐりとるのか…?」
「フォッフォッフォ…まぁそれもできないことは無いがそれはそれでまた条件が違う」
「よく目を盗んでコソコソするって言うじゃろ?
その目を盗むじゃ」
「要するに相手から自分が視認できなくなる能力
簡単に言えば存在感を消せるのじゃ 」
わーお、これで俺も某バスケ漫画の幻のシックスマンになれるってわけか
「だがこれにも条件があって
存在感を消せるのはスキルを使用してから20秒間だけ、その間に生物に触れられたら効果は解除されるし
また再発動するには3分のタイムラグが生じる」
「まぁざっと説明はこんなところじゃ
他にも応用は効く能力じゃから色々試してみると良いぞ」
「先生!質問です!この能力で女の子の服を剥ぎ取ることは可能ですか…!?」
「まぁ…能力の効果範囲内に入れれば不可能では無いじゃろうな…」
「ヒャッハァァ!おぅ神よ…愛しの神よ…なんて貴方は素晴らしいんだ」
我ながらテンションが気持ち悪いほど上がっていた
「もう質問は無いじゃろ?
またなにか困ったことがあれば呼んでくれ」
「ではさらばじゃ!」
「あざーす!神様!」
グダグダと能力の説明だけになってしまいました…
次回は戦闘シーンとか入れてみる予定です