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10話労働宣告

異世界生活も、はや3ヶ月を迎えようとしていた


特に変わったことは無く

強いて変わったことと言えば…


「てめーら!まだ寝てんのか!」


下の階からじいさんの怒鳴り声が聞こえる

あのじいさん最初あった時は寡黙なクールジジィだと思っていたが、ただの人見知りが激しいジジィだった

今となってはこうやっていちいちお節介を焼いてくる


俺は重い瞼を開け

布団から出た


そして隣の布団で寝てるマルタをおこす


「おい…マルタ

じいさんがうるせーからとりあえず起きとけ…」


「ふぇ…まだ8時じゃん…」


「とりあえず朝飯だ…行くぞ」


マルタは眠たそうな目を擦りながら

のそのそと動き出す


そして俺達はボサボサな髪型も整えず

下の階に降りる



下に降りるとじいさんがニコニコしながら

「若いもんがこんな時間まで寝てるなんて健康に悪いぞ!」


なんてほざきやがる

うるせー余計なお世話だ…


とりあえずいつものカウンターの定位置に座る



「じいさん飯作って…」


「私パフェ食べたい…」


「てめーら金は…?」

ジジィが不機嫌そうにこちらを睨み付けながら

質問してきた


それに対して俺達は元気よく


「「ツケで!」」


と声を合わせて返す


今の俺達にはもう金がないのだ

マルタが持ってた金も生活必需品を買ったら

全部飛んだ


家具ってやっぱたけーのな…


「ふざけんな!前もツケとか言っといてツケ分払ってもらってねーよ!」


と怒鳴るジジィ


「落ち着けよじいさん…血圧上がるぜ」


「てめーらのせいで上がってんだよ!」


「今度こそちゃんと払うから…!飯作ってくれよ!」


「んなこと信じられるわけねーだろ!てめーらにタダ飯食わせるほどの余裕なんてこの店にはねぇんだよ…」


頑固なじいさんだ…


仕方ねぇ…最終手段だ…


俺はマルタにアイコンタクトをとる

マルタはそれに応じて頷く


「おい…!どうしたマルタァァァァ!」


と大袈裟に叫ぶ俺


マルタはそれに対して


「う…お腹減ったよ…ひもじいよぉ…」


と渾身の泣きの演技を見せる


「クソ…ゴメンなぁ…俺が不甲斐ないばっかりに…ッッ!」


「私達もうなにも食べられないの…?」


「…すまんな…マルタ…」


俺もここで泣きの演技に入る

これぞ泣き落とし戦法


「う…そんなぁぁぁ…」


「じいさん!せめて…せめて…マルタにだけでも飯を作ってやってくれ…」


「でもそれじゃカゲルは食べられない…」


「いいんだ…マルタ…

お前さえ生き延びてくれれば…」


「カゲル…!うわぁぁぁぁん」


じいさんはこの状況をみて

頭を掻きながら


「わかった…わかった!飯を作ってやれば良いんだろ…その代わり今度こそ絶対ツケを払ってもらうからな…」


「マジか!ジジィ!」


「おじいちゃん!大好き!」


マルタにおじいちゃんと呼ばれたのが嬉しかったのか少し表情が緩んだじいさん


「んで今日はなに食べたいんだ…?」


「「肉!」」


元気よく俺達は注文した


じいさんはヤレヤレと言いたげな顔をしながら

奥の厨房へと入っていった


「ククク…チョロいジジィだぜ…なぁマルタさん…」


「じいさんなんて孫くらいの年頃な子には弱いもんよ…」


「マルタさんも悪よのぅ…」


「いえいえカゲルさん程では…」


こんな時代劇のヒトコマのような事をやってる内に

料理が来た


だが…いつもの様に俺達の前に置かれるはずの肉が置かれない…


「じいさん…どういうつもりだ?…そりゃ新手のプレイかい?」


「お前らの言うことをそのまま素直に信用するわけにもいかないんでな」


「んじゃどうしろと…?」


「お前ら働け…」


俺達の体に電撃が走った

働けなんて言われることは俺達にとって

死刑宣告されるのと同義


だがしかし…肉を目の前にして俺達は冷静を欠いていた…


「わかった!働くから!早くそのお肉ちょーだい!」


最初に切り込んだのはマルタだった…


「まて…マルタッッ!それは罠だ…」


俺の忠告を受け入れず肉を頬張るマルタ

その様子を見てたら俺の腹の虫が暴走してしまった


「じいさん!俺にも早く肉をッッ!」


俺の理性は本能を押さえきれなかったようだ


「本当に働くのか?」


「おう!」


「…なんでもやる?」


「あたぼーよ! 」


俺はこの時気付いていなかった…

じいさんの笑顔の裏に隠されていた悪意を

























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