妄想爆発boys
少年Aは通学路を走る。ムフフ、と気色悪い笑い声立てながらひたすら目的地を目指していた。
朝の鐘が鳴るまで残り5分程度。ギリギリ間に合う時間である。
「はぁ……新学期から遅刻ギリギリになってしまった。」
俺の名前は、森下 輝。生田学園高校の1年だ。文武両道でサッカー部と軽音部を兼部している。ごく普通のウルトラ高校生。得意な科目は、物理と体育。苦手な科目は……特に無いかな。
それはそうと、長い休み明けの学校というのはやはり足が重い。
タッタッタッ……ドンっ‼︎
「きゃぁ⁉︎」
「⁉︎」
どうやら俺は曲がり角を猛スピードで駆けて来た何かにぶつかってしまったようだ。
どういう事だろうか、俺はぶつかった拍子に四つん這いで女の子に覆いかぶさってしまったようだ。制服から察するにうちの高校の生徒だろう。
「変態……。」
一言そう言うと彼女は俺を蹴り上げどかすと、立ち上がり風のように走り去ってしまった。
「うぐぐ……ぶつかってきたのはそっちだろうが……がくっ」
ガララ…
「ふーっ、なんとか間に合ったみいだな。」
「いや、3分の遅刻だよ。輝。」
そう言うのは、同じクラスの幼馴染、鷲ヶ峰 隼。典型的な草食系男子だ。
もちろん、悶え苦しんでいたいなければ3分の遅刻などしてはいなかっただろう。本当に許すまじ、あの女。
「まぁ、戸部てぃーが来てないからセーフだって、ん?でも、この時間にあの生真面目な先生が来てないなんて明日は雨確定だな。」
「それが、戸部先生が遅れているのは転校生が来るかららしいんだよ。」
「転校生だと…女か?」
「さぁ?そこまでは知らないよ。」
女だといいな、そう思っていると戸部が入って来た。
「おはようございます。今日はみなさんに転校生を紹介したい。じゃあ、入って来てください。」
「朋優高校から来ました。葉月 戀です。仲良くしてください。」
ニコッ、この時点でクラスの男子ほとんどが葉月にメロメロになっていた。通常ならば俺も例外ではないのだが、今回は少し状況が違う。
「お前、さっきはよくもッ」
「あーっ、あなたは、今朝私を押し倒した変態!」
これが世界の運命を握る二人の出会いだった。
続く…
賢明な読者諸君にすれば分かっていると思うが、今の転校生の下りは全て虚構である。いわゆる妄想というやつだ。リアルでこんなこと起こるわけ無かろう。
少年Aは、この妄想を叶えるためにわざわざ遅刻ギリギリに家を出たわけだ。なんて、愚かなのだろう。
曲がり角が見え、最終イメージトレーニングを終えた。少年Aは呟いた。
「完璧。」
「何が…?」
気配を消して少年Aとなりを歩いてわ!いたのは少年B。少年Aの幼馴染でクラスメイトである。
「うぉっ!って何だ隼か、びっくりしただろ。」
「ゴメンゴメン。ところで完璧って何が?」
「何ってお前……新学期、遅刻ギリギリ、曲がり角っていったら決まっているだろう。」
「新学期…遅刻ギリギリ…遅曲がり角……?」
「これでわからないだと〜、それでも貴様男なのか。つまり、ドンッってやつだよ。」
少年Aは、手でぶつかるジェスチャーをしながら言った。
「はぁ……新学期から遅刻ギリギリになってしまった。」
僕の名前は、鷲ヶ峰 隼。生田学園高校の1年です。文武共に人並みしかない、ごく普通の男子高校生。苦手な科目は、国語と体育。得意な科目は……特に無いです。
それはそうと、長い休み明けの学校というのはやはり足が重いものです。
ブロロ……ドンっ!
ん⁇どうなっているだろう。手足の……いや、身体の感覚がない。僕は倒れているのか…。
道路に広がる血、止まっているトラック。僕は確信しました。
あぁ、トラックにひかれてしまった。と……
完。
状況を自分なりに理解した少年Bは、言った。
「考え直さないか?」
そう言われた少年Aは目を丸くする。
「お前、どれだけの男がこの夢を持っていると思っている?」
「そんな馬鹿な話があるか。少なくとも僕はまだ死にたくは無い。」
「死ぬ?えっ、ちょっと待てどういうことだ?」
「どうゆうことも何も、お前は交通事故で自殺を企んでいたのでは…?」
「なんで俺が車とドンっしなきゃいけないんだよ。美少女とに決まってんだろうが!」
「それってつまり…
「はぁ……新学期から遅刻ギリギリになってしまった。」
僕の名前は、鷲ヶ峰 隼。生田学園高校の1年…以下略。
ブロロ……ドンっ!
ん⁇どうなっているのだろう。手足の……いや、身体の感覚がない。僕は倒れているのか…。
道路に広がる血、止まっているトラック。僕は確信しました。
あぁ、トラックにひかれてしまった。と……
何処かから人の声が聞こえてくる。
「ヤバイ。人をひいてしまった。どうしよう。」
どうやら、僕を血だらけにした運転手のようだ。
どうしようって、まず救急車を呼んで欲しいな……
すると、運転手とは違う声がしました。若い女の子の声。
「ちょっとパパ。そんなのどうだっていいでしょ!そんなことより、早くしないと戀遅刻しちゃう〜。」
「あっ、そうだったな。戀を学校に送っている最中だった。テヘッ。」
「ちょっ、待って…救急車呼んでくださいって。」そう言いたかったが、もう声は出ない。トラックは、走り出してしまった。
ブロロロ……
この恨みはらさでおくべきか…
僕の視界はそこで完全に暗くなった。
完。
…ということか。」
「おい待て、おかしすぎるだろっ!なんでトラックにはねられなきゃいけねぇんだよ!」
「『新学期』で浮かれていて…『遅刻ギリギリ』でさらに不注意になり…『曲がり角』でトラックと衝突…。イコール死亡。」
「うっ、確かにワードが悪かったかもしれねぇ…。おほん、訂正しよう。俺が今日ぶつかるのは生身の女の子だ。しかも、美少女だ。これなら間違えようが無いだろ。では、これで」
そして、少年Aは曲がり角に向かってあるきだした。
その時、少年Bは考えていた。
「生身の美少女……?」
「はぁ……新学期から…以下略。
タッタッタッ……ドンっ‼︎
僕は曲がり角から飛び出した何かとぶつかってしまった。どうやらぶつかったのは、美少女のようだ。
「ふはは……はっ……はは…」
ん⁇何で美少女は笑って……⁉︎
僕の目の前にいる美少女は、血だらけだった。いや、訂正しよう。血が出ているのは僕の方であった。腹に深々と包丁が突き刺さっている。
「パパ……私やったよ。仇とったよ。」
そんな美少女の言葉は、僕の耳に入らなかった。その前に意識は、無くなっていた。
完。
少年Bは思考が終わった刹那少年Aの方へ走り出していた。
「だめだ、輝っ‼︎」
そう叫び少年Aを突き飛ばす少年B。突き飛ばされた少年Aは、曲がり角の先へ転がりこむ。
何も無かった。
少年Aにはかすり傷さえ…
もちろん、美少女にぶつかることも…
少年Bは、少年Aを抱きしめた。それから、二人で泣いた。少年Aは、想い描いた夢の崩壊に…少年Bは、友の生存に…
朝のチャイムはそんな二人のことは、お構いなしに鳴り響いた。
最後まで読んで下さってありがとうございます。ぜひ、参考にしたいので評価をしていただけたらと思います。




