第三話
支度を済ませ、部屋から出る。
やたらと長い廊下を歩いていると、ふいに後ろから声を掛けられた。
「またアンタ側近への勧誘すっぼかしたんだって?」
凛とした声音。誰だかすぐにわかった。
振り返ると見事な金髪をポニーテールにいわいた少女が居た。
No462。485と同期の訓練生である。
マニュアルではあまりに基本中の基本なので書かれていなかったが、ここでは訓練生は皆、管理Noで呼ばれる。
とりあえず無視するのもどうかとは思ったので、返事をしておく。
「あぁ、面倒だからな。そういえば今日はやたらと早いな?」
462はいつも遅く起きてきて、8:00ギリギリにやっと食べ終わるのだ。
485も462ほどではないが遅い方なので言えた事ではないのだが。
「き、昨日は早く寝たのよ、、、、、!」
何故か頬を赤く染め、目を反らして呟く。赤面病でも拗らせたのだろうか。
「珍しいな。で、何時に寝た?」
「へ・・・・?え、えーと、、、9時。9時よ。」
絶対嘘だ。
462とは隣の部屋なのだが、昨日は自分が眠るまでずっとサンドバッグを殴る音が響いていたからだ。
まあそんなこと言ったらもれなく逆ギレを喰らいそうなので黙っておく。
食堂につくと、まだ誰もいない。
壁時計を覗くと、まだ7:00にもなっていなかった。