第一話
目が覚めた。
枕元のデジタル時計を見やるとAM2:16を表示していた。
どうやらまだ起きるべき時間では無さそうだ。
少年、いや、通称管理No485はついさっきまで見ていた夢を思い出した。
草原
死体
青空
突風
血
自分だけ
いくつかの言の葉が頭を過る。
―あの夢は一体・・・・?
それについて考えている内にすっかり眠気が覚めてしまった。
仕方なくデスクのPCを立ち上げる。
いらないファイルを分別していると実に懐かしいものを見つけた。
『AWマニュアル』
5年前ここへ来てから最初に見せられ、しばらく重宝していたファイル。
つまりは初心者ガイドのようなものである。
ファイルを開いて見ることにした。
今485が暮らしているのは、日本の国家機密機関、AWの兵士訓練施設である。
AWは世界中のあちらこちらで多発している戦争を圧倒的武力を用いて粛清する。
そういった目的で作られた機関で、ここは兵士の育成及び訓練施設 らしい。
正直そんなことはかなりどうでも良かった。なんとなく意味が見出だせないのである。
485は武力で粛清したりしようとするから戦争が起こるんじゃないかと考えていた。
けれど、そんなことは誰にも言えなかった。
その理由はかなり単純明快で、
機関に逆らえば誰だろうと、どんな理由でも罰せられるのだから。
この施設は主に一人の人物が中心となっている。
『K』と呼ばれる、この施設の詳細不明の管理者で、機関のお偉いさんだ。
もはや暴君であるがそれも無論、誰にも言えない。
また彼のそばには4人の側近が仕えており、いずれも優等生らしい。
ファイルを閉じ、今度はメールを確認する。
1件新着があった。またどうせ側近への勧誘だろう。
面倒そうなのでPCを閉じて、再び時計を見るとAM 6:30を回っていたのでそろそろ着替えて食堂へむかうことにした。