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プロローグ
少年は一人、草原に居た。
辺りは見事なまでに一面緑で、
他に少年以外に在るものと云えば、真っ青な空だけ。
ここは何処なんだろうか?
それが彼が第一に考え出した疑問だった。
その時。
何の前触れもなく、突風が吹き抜けた。
とっさに目を瞑り、身構える。
次の瞬間、鉄の混ざったような香りが少年の鼻腔をくすぐった。
少年はそっと目を開ける。
するとおびただしい程の人の死体が目に飛びこんできた。
どの死体も皆鎧を着込んでいる。
首から上がすっかりなくなったものも確認出来た。
そして、少年は自分の右手に何か握っているということに気がついた。
それは、血にまみれた、刀だった。