Ep1 伝える音
ホラーな感じでは無いかもしれないけど暖かい目で見て欲しいです
僕は、自分の事がどうであろうと昔を知られたくない事もある。今が何なのかそれが大事だと思う。私立探偵としての北野が今の自分である。
「これは簡単に言えば、昔僕が、事件で解決した話の一つである」
北野探偵事務所の事務所に依頼人がやってきた。依頼人を、席に案内して、そのうちに水を用意する。
「すいませんお待たせしました。探偵の北野です。本日はどのような依頼でしょうか?」自分は、少しフラットな感じで聞く。
「実はここ最近キィ…キィと鳴く音が聞こえるのです」
「キィ…キィと鳴く音ですか?」北野は、今回の依頼人に聞く。少し若い女性で、年齢は50歳、60歳ぐらいの方である。名前は…ここら辺は、個人情報になるからやめて置く。
「はい。私の住んでいる岐阜県の神電のここに住んでいるんです」女性は、ポケットからデジタル地図を取り出して住んでいる地域に、指を指して場所を教える。京都でいう山科の様な隠れた小都会な感じである。
「なるほど、具体的にいつ、どんな時に起きたか覚えてる限り教えてください」
女性は色々とその時に起きた事を伝えた。やはり聞いている限り、僕のような特殊な人間とは関係がないのが分かる。むしろどちらかと言えば妖怪とかのその類、もしくは誰かのイタズラかどちらにしろ依頼人を安心するために現地へ行くしかない。
「分かりました。実際私も、現地に行って確かめておきます」その言葉で、女性は安堵する。何かに解放された感じだった。
「よろしくお願いします」依頼人は深々と頭を下げた。
「私が調査している間、親友の家に泊まってください。大丈夫です。親友は現在、仕事で忙しく帰って来ないんです。留守にしている間彼の家を自由にしていいと言われているので」そう言っている間に、彼の家の鍵や場所を紙に書き込んでおく。そして依頼人に渡す。
「ここが住所とその鍵です。もし何か思い出したらお電話ください」こうして依頼を引き受けることにし、依頼人は、親友の家に向かった。
翌日から、事務所を空け依頼人の住んでいる岐阜県に行くことにした。約半世紀前は、新大阪駅が新幹線の乗り場として使われてあったらしいが温暖化の影響で海面上昇し大阪は壊滅したらしい。今は、埋め立てられ新しい大阪として駅があるらしいが、一番近いのは京都駅だったから京都駅へ向かう新快速に乗り京都へ向かった。新快速に揺られながら京都駅を降りて、地下へ向かった。階段を降りて少し歩いたところに新幹線の乗り場に向かうエスカレーターがあるためそこに向かう。そのエスカレーターは、京都駅の中でも特に長いため時間がかかったが、無事新幹線に乗ることができた。この時期は、平日なため比較的人が少ない。自分は、2人用の普通席に座った。時刻通りに新幹線は、出発した。ここでは、読書や動画を見て時間を潰すことにするのが昔から好きなだった。走行中に、リニアが見えて驚いた。
(まさかリニアを、数年で完成するとはしかも新型なのが余計に驚きを隠せない)この時、日本での戦争が終わった後まだ2年ぐらいしかまだ経っていない。こんな早くに復興するとは思わなかった。そうこうして、時間を潰して新幹線はあっという間に目的の岐阜に着いていた。
「リニアも速いが新幹線も新型で速い」小声で、言って岐阜県に到着した。岐阜駅には新幹線乗り場が出来た事で、都会に行きやすくなっている。岐阜駅の改札を抜けて、ここから山奥へと向かうバスに乗ることにした。バスは、1時間に1本と数は多少山奥へと向かうバスでは優遇されている方である。腕時計で時間を確認すると大体13時をさしている。
(仕方がないが今から行っても間に合わない。1時間後のバスに乗ることにするか)暇つぶしに岐阜駅の周辺を散歩することにした。岐阜駅の周辺は改装を重ねて、商業施設が多く建ち並んでいるその為暇つぶしがしやすいのが嬉しいところである。そこら辺は、前戦った敵に感謝するべき点である。付近の探索で気付けば1時間近く潰れており、急いで走って14時のバスに何とか間に合った。バス乗り場には、そこそこの人数が居た。大体15人から20人近くいる。やはり小都会だからこそ、ここまで人がいるのだと思った。バスは、水素で動く事ができるようで比較的新しいバスだから新興都市の一つかもしれない。
僕が探偵での生きがいの一つは、知らない場所に事前情報を無しで自分で見つける事が好きなことである。ある意味自分が見つけた1番の趣味なのかも知れない。
バスに揺られて30分、終点の神電目的地にようやく着いた。バスから降りると、比較的温暖で快適な場所というのが感想である。立地は山に囲まれて、電車が無いのが残念だがここに住む人は、子育て世代が多い。至る所に家族がいて、この都市はそこに力を入れているのだと感じた。
「依頼人の住んでいる場所と宿は…」スマホの地図を開いて確認する。手首につけるリングを手で地図を見るのでは無いため鉄の板を覗く少し変わった人に見えるが、昔も良いと思ってるからこそ愛用している。
「こっちか…」色々と確認して、徒歩で1時間近く経った。人里離れた場所に近づきつつある。だんだん暗くなり、依頼人が体験した時間と場所に近づいている。
「それにしても残ってるんだな…」足を止めた。右手側に線路が残っている。スマホには、地元の電車が通っているらしいが、実際には電車は通っておらず、ずっと前に廃線になったと廃駅の近くで書かれている事に気がついた。
電柱の近くに、花が置かれている。花屋とかで買える花が1束だけ置かれている。何故かそれを見つめてしまう。だがどうやっても、無視する事ができない。
(ここまで歩いて疲れたんだろう)再び歩みを再開する。電柱を境目に、越えて
キィ…キィ…
「今聞こえたぞ…誰か‥いるのか!」大声で怒鳴りつける。だが辺りに隠れる場所は無く背後に人がいた気配もない。
キィ〜キィ〜
!後ろから聞こえて振り向くがやはり誰もいない。
(一体どういう事だ!?人が…居ないのに聞こえてくる…明らかに人の声で発している。)
「誰だ!…誰だと聞いている!」やはり反応も気配もしない。
カンカンカンカン
「踏み切り音だとどういう事だ!ここは廃線なはずだ!音は出な…
!
「ここはどこだ?」さっきまでいた場所は、簡単に言えば周りに何もなかった。空き地があるだけの場所に不動産の看板が立っているだけだったのに二階建の家が建ち並んでいる。
「これは何の力だ?『アビス』!」
(『アビス』僕の能力が使えないだと!?)
何故?
どうして?
敵?
どうする?
考えるが、結論が出ない。頭を抱えて考える。
これは何なんだ
「コノバショ…オボエテ」
背後から声が聞こえる。振り返ると電車がこちらに向かって脱線していた。
「ここは…どこだ」気が付けば例の場所に寝転んでいた。頭がクラクラするが、確かに自分は最後に電車の脱線で死んだ。様な体験をした。
「この事象を…探りたいが、ひとまず後にしたい」体を柵に委ねて一歩ずつ前に進む。生きた感覚がなくなったのが、より一層リアルだったから体が上手く動いてくれない。いやむしろあれは現実だ。
「すまないが…君のことを調べるのは暫く後になる」独り言を伝えてその場を後にした。宿に着いた直後部屋の鍵をもらった後、布団を出してすぐに眠りについた。理解しがたいことを整理したいのと寝れることで、生きていることを確かめたいのが今の自分に欲しいことであった。
翌日すぐに神電の図書館に向かった。都心にあることから、そこに行くために再びあの場所を訪れる。
(迂回しよう)最短なのは、あの道だが迂回して山道に1時間半かかった。凸凹していて簡易的な道が舗装されているだけだったが、行き着く先が図書館近くの山道だったのが良い点である。泥を払いのけ、急ぎ図書館に入った。図書館は、意外と本棚が並んでいて最近のデジタルの本が並ぶ図書館では無い半世紀前のレトロな図書館と言うべき場所であった。
「歴史はどこだろう」独り言を唱え続けて、岐阜県、神電の歴史書、地元の新聞紙を片っ端に集めてはその場で立ち読み、探して、立ち読みの繰り返しをずっとしている。時間は、過ぎに過ぎてゆく。
「何であそこに関するのが無いんだ」内心イライラが溜まりつつ次の新聞紙を、手に取る。2035年、今から約40年近く前の新聞紙でそこには電車の脱線事故が報じられている。
(これは…)すぐに資料を戻して、急いで、あの場所に戻る。時刻はこの時、昨日の現象にあった時間帯である。
「何とか間に合った。」あの境界線に、立っている。そして一歩踏み出す。
「キィ‥キィ…」再びあの声が、聞こえてくる。
「君、いや君たちは、今から40年ほど前のこの時間に列車の事故にあった」あの声は、止まる。一拍間をおいて、
「知っているの…?」声は呼びかける。
「図書館で知った。40年前に当時小学生だった君たちは、下校中であった。だが、その下校中にその時間走っていた列車がスピードの出し過ぎでそのままカーブに侵入。君達と衝突したんだろう。その時そこの空き地に建っていた住宅にぶつかって、さらに大惨事になったんだろう。その時、家の人は誰も居なかったのが、まだ良かった」声は、人の形になっていく。
「そして、何故かは分からないが、その被害に遭った君たちは、地縛霊の様な物になった」その言葉で、霊達は、当時の小学生の形になったんだと思う。服装的にそうだと感じた。
「ありがと、う。その悲しみをみんなに伝えたかった…それだけなんだ」少し涙が溢れているのかもしれない。多分、依頼人以外にも同様の事をしたんだろう。
「キィと君たちが言っていたのは、電車のブレーキ音かい?」霊は頷く。
「私たち、忘れられると消えるの、妖怪と同じだから、覚えて…」
「大丈夫だ。ここには、形を残しておく。ここの人が忘れない様に…」その言葉で、霊は消えた。薄気味悪い気配が消えたのが感覚で大体、分かった。
「依頼完了」その場を後にした。
翌日、岐阜から依頼人の元へ行って事件の真相を話した。
「あの事故で今、霊になったんですね」少し彼女は懐かしさと寂しさを感じていた。
「これで、事件は解決したはずです。今後は、あの子達を忘れない様にしてください」
「どうもありがとうございます」依頼料の入った袋を置いて彼女はその場を後にした。
後日の記事で、彼女は人々が忘れないように、慰霊碑の様なものを立てた事が分かった。彼女自身も忘れないに、行動を起こしたんだと思う。
「それにしても、霊と会うとは…実際に存在したんだな」事務所を眺めてぼーっとした。事件の報告書を書いている途中であったが、休憩は必要だ。再び、彼は作業を再開した。
余談だが、あの事故で一人だけ、生存した女子が居たらしい。
前に短編の設定を知るために書いたのを載せました。




