表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

24 気楽《コモド》な時間 side須直

 週明けの昼休み。


 教室で葉月ちゃんと二人で昼メシを食べることになった。


 事前の打ち合わせ通り「お試し期間終了、このままつきあうぜ」と報告したら、


「おめでとう。じゃあ二人きりのほうがいいね」



 と言って、響司と阿部があっさり席を立った。

 ……気を遣われてるなー、これ。

 付き合うなんて嘘だけど。



 まあ俺らがいてもお邪魔だし、仲良やっててくれたらよし。


 葉月ちゃんはなんか険しい目をして、物々しい雰囲気をかもしながら弁当を取り出した。

 


「もうキュウリ婦人なんて言わせない! 汚名返上するんだから!!」



 マンガなら、 ででん! と効果音を背負っていそうな勢いで押し付けられた弁当。


 弁当用バンドで無理やり押さえつけられた箱。

 フタを開けたら…………中身はもやしだった。

 もやしが隙間なく、ぎっちりつまっている。


 焼肉かなんかのタレだろう、うっすら茶色くて、しょっぱい系のかおりがする。

 キュウリ弁当じゃなくなったと思ったら、もやし弁当。


 他のおかずなんて存在しない。

 


 こらえきれず笑っちまった。


「ははははっ! 極端だなぁ葉月ちゃん。なんでいっつもフタが閉まらないくらいパンパンなんだよ」


「はぁ!? そこまで笑うことなくない!? もやし一袋いれただけだし! 安い上にボリュームあるの最強じゃない!」


「ひとふくろ、マジか。それ、本気で言ってんのウケる」


 返礼品のリンゴジュースを投げわたす。



 それにしても。ぶつ切りキュウリのあさ漬けとか、もやし炒めパンパンにつめるとか。

 容姿に反して、料理が豪快すぎるだろ。



 箸でつまんでひとくち食べれば、馴染みのある焼肉味が口いっぱいにひろがる。


 腰に手を当て、ドヤ顔で感想をもとめてくる葉月ちゃん。



「ふふーん。どう?」


「……この強いショウガ。マルマルの焼肉のタレか」


「タレを当てろなんて言ってないよ!」


 半分冗談で言ったが、当たっていたらしい。


 まわりの席にいた女子グループが爆笑した。


「やっばい。吉田ちゃんおもろすぎるんだけど」

「芸人目指してる?」

「目指してないよ!」


 ほほをふくらませて叫ぶ葉月ちゃん。


「まあでも、約束された味だからうまいな」

「タレがって言いたいんでしょ。ふんだ! 次こそあっと言わせてやるんだから!」


 キュウリ婦人の次は、もやし職人の称号がついた。


 

 


 それから昨日メッセージで話したとおり、バスケを教えることになった。


 体育館に入ると、何人かボールで遊んでるやつがいた。


 俺も用具倉庫に入ってバスケットボールを持ってきた。



「とりあえずやったことないなら、ドリブルとシュートかな。ボール持ったまんま三歩あるいちゃいけないんだぞ。だからドリブルでつなぐか、仲間にパスする」

「へー。そんなルールがあるんだ」



 手本にドリブルをして、目の前にあるゴールになげる。

 スパ、とネットをくぐって落ちてきた。


 葉月ちゃんは、ペチペチとやる気のない拍手をする。


「ダンク読んだら、だいたいの基礎知識はつくぞ。俺は小学生の時にダンク読んで覚えた。貸そうか」


「マンガへのリスペクトがすぎる!」


 すかさずつっこみが返ってきた。


「親父の本棚にあったからさ、一巻読んだらハマって一気読みした。ブルーレイボックスあったからアニメも全部見たし、親父と映画版も見に行ったぞ」


「ほんとーにバスケ好きなんだねぇ……」


 バスケ語りに呆れたのか、どこか遠い目をしている。


「響司くんにしろ沢くんにしろ、趣味の話になるとやたら饒舌になるんだね」

「あー。響司音楽のこと以外はあんま話さないもんな。部屋にテレビないって言ってた気がするし」


 俺は部屋にテレビあるし、風呂入るとき以外は常にテレビつけっぱ。

 正反対だな。


「俺としては響司にも布教したいんだけどな。ダンク語る仲間、募集中」


 葉月ちゃんはちょっと考えてから言った。


「ふーん。なら、ブルーレイ貸してよ。マンガは重たいから運びたくないし」

「お、見るか!?」

「おもしろくないなー、って思ったら一巻で返すから」


 つんとすまして、ドリブルを真似る葉月ちゃん。


「そう言う奴だいたいハマるから。バスケ部襲撃からが本番」

「ほんとかなぁ……」



 一巻くらいなら見ようかな~とか言っていた葉月ちゃんだが、その後一週間立たずにブルーレイを完走した。


 それ見たことかと笑ったら、自販機の牛乳を投げつけられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
haylbnlzgu8wh8711dzab4oj83ip_ehc_1jk_my_go4m.png
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ