表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/4

2.シノロの村

 ヘレンは道中、色々と質問を受けていた。

 どこから来たのか、生まれた場所、どういうところで育ったのか。

 いずれも答えるもエイ達には全く知らないことだった。

 まるで別世界から来たかのように――

 

「まだですのー?この私を歩かせるなんて非常識にもほどがありますわ」

「もうちょっとだよ」

「……この子嫌い」

 

 励ますエイに対してお嬢様ぶりな彼女を嫌うメアリーは対照的な反応を見せる。

 森を抜けると平原になり、遠くには木造の建物が見える。

 

「あれがシノロの村だよ。村としては結構発展しているんだ」


 到着すると村は食べ物や服などを売っている市場でにぎわっていた。

 見るとヘレナの元いた世界と変わらないものが売られている。

 

「とりあえずギルドに行ってみよう」

「ギルド? 冒険者が集うようなところですの?」


 普段は聞きなれない言葉だったがファンタジーの本とかでは王道のものである。

 メアリーは疑うような目で話しかけてくる。


「そうね。大体合っているわ。ただ、あなたの場合素性が分からないから指名手配されていないかとか見る必要があるわ」


 悪人扱いされてヘレナは憤慨する。


「何ですって!この私が悪人!?信じられませんわ!」

「信じられないも何も、こちらからすると怪しいのよ」


 雰囲気の悪い二人の仲をエイは収めるように言う。


「二人とも落ち着いて。ヘレナは確かに怪しい部分はあるけれど悪人と決めつけるにはまだ早いよ。それにギルドに行くのは彼女について知ることができるからだ」

「何か関係があるのですの?」

「ギルドでは冒険者登録する前に、ステータスを見ることができる。君の力は一般のそれとは違いそうだからね」


 そうしてギルドにたどり着く。

中には屈強な男やとんがり帽子を付けた者などがいた。

カウンターにはニコニコと笑顔を振りまく女性がいて、彼女にエイが話しかける。


「ゴブリンの討伐が終わりました」


 そう言っていつの間にか回収していたゴブリンのコインを渡している。

 この世界のゴブリンは自分たち専用のコインを一種のお守りとして持ち歩いている。


「確認しました。お疲れ様です」

「それとなんだけれどもヘレナを冒険者登録したいんだ」


 ヘレナは珍しそうに周りを見渡していた。


「かしこまりました。ヘレナさんですね。私はサラです。こちらに来てください」


案内されて部屋に入るとそこには椅子とテーブルがあり、水晶玉が置かれていた。


「これは何かしら?」

「この水晶玉は本人の能力を測定するものです。こちらに座ってください」


彼女がすすめるがままに椅子に座ると彼女も向かい側に座る。


「水晶玉に手をかざしてください」


ヘレナはそっと手を前に出すと水晶玉は輝き始める。

サラは水晶玉を見つめながら話を続ける。


「そうですね……魔力はなくて、体力と防御力は高め……知能もやや高めですね」


 エイが割り込んでくる。

 ゴブリン達との戦闘で見せたあの力の正体が気になっているのだ。


「攻撃力はどうです?」

「攻撃力は……ないです」

「ない?そんなはずは……」

「正確には怪力です。こちらは測ることができないです」


 エイとメアリーに衝撃が走る。

 ステータスの名称が変わる者は伝説級と言われており、かの勇者ハロルドは魔力が勇気と呼称されていたとされている。

 ヘレナの怪力は誰も聞いたことのないステータスとなる。


「そんなに凄いことですの?」


当の本人はきょとんとしている。

 サラがことの重大さを話し始める。


「ステータスの呼称が変わるのは本当に稀です。怪力となるとほとんどの人はあなたに力で敵わないことになります」


 メアリーがつっかかってくる。


「あなた何をしたのよ!? こんなこと……ありえないわ!」


 彼女は自身のプライドのことで怒っているのではなくエイのことを考えているためである。

 エイはこの村で過ごし、立派な戦士になるため訓練を続けていた。

 それでもなお到達できない高みに何も知らない女がいることに怒りを覚えたのだ。


「そうね……趣味で筋トレをしておりましたわ。専門のコーチを付けて指導を受けておりましてよ」

「そんな程度で……!」

「メアリ―、いいんだ」


 エイは察してメアリーを静止する。


「君がすごいのはよく分かった。でも扱い切れていないんじゃないか? 怪力ならゴブリンは星くずになってもおかしくなさそうだ」

 サラが答えた。


「それはありますね。怪力は潜在的で完全に引き出されていない状態にあります。鍛錬を積めばより力を発揮すると思います」

「ちょっと待って欲しいですの。それって筋肉ムキムキのマッチョになるということですの?」

「それは分からないですね。かの勇者ハロルドは魔力が勇気と呼称されていましたが特段見た目が変わっていたわけではありませんから」

「でもゼロではないのでしょう? エイのようにがたいがいい人がいるように……」

「そうですね。攻撃力はいわば筋肉に直結しますので。ただステータスが怪力は見たことないので何ともは言えないです」


 ヘレナはその場を立ち上がる。


「絶対嫌ですからね!この私ががたいがよくなるなんて……淑女を目指す私はしなやかな体を目指しているのですの!」


 その態度にメアリーは嫌な顔をする。

 エイはヘレナに提案をする。


「とりあえず行く当てがないのだろう? 無理に鍛えろとは言わないから俺たちとチームを組まないか?」

「……そうですわね」


 ヘレナは彼の提案を受け入れ、冒険者ギルドに正式に登録されることとなる。

 彼女の冒険はここから始まる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ