一方通行の身分差の恋は
「やはり身分差のある恋愛など、上手く行かないものなのですね」
ロザリアがそう言うと、同席していた彼女の友人達は同意を示すように微笑んで頷いた。
「ロザリア様は物語のような愛憎劇をお望みでしたの?」
「そうではありませんが、お可愛らしい方ですから、見ていて飽きないだろうと思いましたの」
「あら、それでは何処かの誰かと同じではありませんか」
「毛色の変わった珍獣を愛でたくなる気持ちは分からないでもありませんが、ロザリア様までお戯れになられては困りますわ」
「分かっておりますわ。それにしても、殿下には困ったものね。助けを乞われたのでお父様とも相談して彼女の家族ごと我が家の保護下に置いたのですけど……」
「国王陛下や王妃殿下から叱咤されてもまだ付き纏っているそうですね」
「最近、王子殿下は彼女の事を運命の相手なのだと可笑しな事を口走っているそうですわ。元平民の男爵令嬢と結ばれて公爵令嬢であるロザリア様を側妃にする夢を見たのを神のお告げであると信じていらっしゃるようですが、高位貴族全体を敵に回すおつもりかしら? あのような頭に花が咲いたお方でなかったと思っていたのですが、私や宰相である父の目が曇っていたのでしょうか?」
「ターニャ男爵令嬢とお会いするまでは至って普通の方の様でしたが、彼女と出会ってから段々と高圧的でよく分からない事を口走るようになりましたわね、エドモン殿下。夢のお告げ……それを妄信してしまわれたのでしょうか?」
「たかが夢一つでこうも変わられるとは、恐ろしい事ですわね。このままでは第二王子殿下のお立場も変わられる可能性がありますわ」
「そうならないよう、ターニャには学園を退学して頂きました。こちらの勝手で辞めて頂くのですから迷惑料を支払いましたら、それを持ってご両親の元に帰ったそうです。元のご家族の居場所は
知られていたようなので、我が家の領地に匿っておりますの。王都なら兎も角、公爵家の領地では好き勝手出来ませんわ。彼女を引き取った男爵家にも我が家が直々に後継ぎのご相談に乗っているところです」
「あら、それで最近、エドモン殿下は学園の授業に出られず平民街に向かわれているのですね」
「まだ捜し回っているのですか。側近の者達から度々止めてくれと懇願されているにも関わらず、聞く耳を持たないで血走った目で逃げた子兎をところかまわず捜し回るなんて、少々王族としての自覚が乏しいのでは?」
「殿下に見つからないよう匿いましたから、そう簡単には見つからないと思いますが、恋に狂って何もかも放り出してしまわれるなんて……困ったものですね」
「廃嫡もやむを得ないでしょう。本当に物語のようには上手く行かないようですわね」
ロザリアは親しくしている令嬢達を招いた茶会で至極残念そうに呟いたのだった。
物語の様に上手くはいきませんでした。
権力者の男性側から身分の低い女性側に言い寄って来たら。
異世界転生でよく見る乙女ゲームの記憶が転生者ではなく、王子側の脳に強烈に流れ込んでしまったらどうなるか想像して書いてみました。
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