Ⅰ-1
アンソニーだけが真ん中に立っている
アンソニー「俺の名前はアンソニー。でも、本当の名前じゃない。本当の名前?それは、そのうち分かるさ。俺は親も兄弟もいない。そんな俺だけど、一人友人がいる。名前はスチュアート。スチュアートと初めて出会ったのは、子供の時だった」
暗くなり、子供の頃のケヴィン(アンソニー)が子供の頃のスチュアートの近くまで歩いて行く
ケヴィン「何してるの?」
スチュアート慌てながら、人物像の腕を隠しながら
スチュアート「別に何もしてないよ!?」
ケヴィン「本当に?」
スチュアート「本当だとも!!」
ケヴィン「それじゃあ、そこどいてくれない?」
スチュアート「えっ!?」(驚いたように)
ケヴィン「君が前にいて、その人物像が見えないんだ」
スチュアート「でも・・・」(困ったように)
ケヴィン「いいから早く・・・」
ケヴィンがスチュアートをどかす、すると人物像の腕が落ちる
ケヴィン(腕を拾いながら)「これ、君が壊したの?」
スチュアート(下を向いたまま)「・・・・・・」
ケヴィン「そうなの?」
スチュアート(少しだけ肯き、もう一回大きく肯く)
ケヴィン「そうなんだ・・・でも、大丈夫!(笑顔)僕もよく物を壊すんだけど、ちゃんと直すんだ」
そう言いながら、人物像の腕を人物像の体にはめる
ケヴィン「ほら、ねっ!簡単にはまったよ」
スチュアート(喜びながら)「わあ、すごーい!!」
ケヴィン(小さな声で)「シーっ!!静かに!誰か来る!!早くここから離れよう」
ケヴィンとスチュアートはその人物像からかなり離れる(客席の近くまで)。そこへ、美術館の人が来る
美術館の人「まあ、なんてことでしょう!!(この人物像の)腕が壊れてるなんて!」
美術館の人が騒いでいる中、ケヴィンとスチュアートは美術館を後にする
スチュアート「どうしよう」
ケヴィン「大丈夫、大丈夫」
スチュアート「でも・・・」
ケヴィン「平気、平気。ところで、僕の名前まだ言ってないよね?僕の名前は・・・・・・ケヴィン。でも、アンソニーって呼んでほしい」
スチュアート「アンソニー!?・・・とっても良い名前だね!・・・でも、どうして本当の名前で呼んじゃあいけないの?」
ケヴィン「そんなの気にしない、気にしない!で、君の名前は?」
スチュアート「僕の名前はスチュアート。よろしく」
ケヴィン「こちらこそ、よろしく!!」(握手する)
暗くなり、アンソニーだけが真ん中にいる
アンソニー「それから、俺たちには強い友情が生まれた。そして、何年か過ぎたある日、一人の女の子が家族と一緒にやって来た。その女の子の名前はキャサリン。俺はその頃悪いことばかりしていた。と、言っても、そんなに悪くない。ただ、悪戯をよくしていて、大人に怒られた。スチュアートはとっても頭の良い優等生だった。キャサリンが来て何年が過ぎた頃、俺は酒をバカみたいに飲んでいた。その頃のあだ名は・・・『口説きアンソニー』とか『飲んだくれアンソニー』とかだった。あの日も酒をバカみたいに飲んでいた。良く覚えていないが、俺は酒を飲み過ぎたらしく、かなり酔っていた。気が付くとキャサリンが隣にいて、毛布を掛けといてくれていた。その日以来、俺はキャサリンと仲良くなった。そんな頃だった、スチュアートが俺に『キャサリンが好きだ』と言ったのは・・・その頃だんだんと俺もキャサリンが好きになっていた。そして、俺は言ってしまったのだ。絶対に言ってはいけないことを言ってしまったのだ。『俺もキャサリンが好きになってしまった』と・・・俺がここに立っている理由はほかでもない、俺とスチュアートどっちがキャサリンの恋人になるかを決めるためだ。・・・やっと二人が来たようだ」




