グルグル回る
ドゴーンッッ!!バリバリバリバリッ!
ズガーンッッ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
私の後ろでは、ビックリ人間同士の魔法ショーが盛大に繰り広げられている。が、とりあえず無視した。
魔力吸収のあまりの順調さにそれどころではないのだ。
キース先輩のおまじないが効いたのか、今日の私はすこぶる調子がいい。
相変わらず黒い魔石からは無機質さしか感じないが、人の魔力を取り込む時のような〝心構え〟が全く必要ない。体が過剰反応することもないし、相手の気持ちを慮る必要もない。
…快も不快もなく、ただの作業なのだ。
「あ、最後の一つだ」
ふと顔を上げると、二人のビックリ人間が口をあんぐり開けて私を見ている。そう言えば、いつの間にか轟音が消えている。
「セレス…これ、全部取り込んだの?」
アレンさまが尋ねてくる。
「いえ、一つ残ってます」
私は手に持った最後の一つを掲げて見せる。
「67、68、69……74個」
キース先輩が数える。
「セレス!体!体は何ともない!?」
「いえ、むしろ調子が良くて、まだまだ大丈夫みたいです」
二人は顔を見合わせている。
「…今日はこの辺にしておこうか?無理して何かあってもいけないし」
「そうですか?あ!じゃあ魔法を使う練習してもいいですか?昨日の復習もしてみたいんです!」
「あぁ、うん、そうだね。ちょっと待ってね、一応念のため結界強化させてね」
「はい!」
魔法!魔法!魔法!
「彼女………極大魔法何発打てると思いますか?」
「…キース、この件は他言無用だ。絶対誰にも言わないで」
「………わかってます」
「信用出来ないから記憶消してもいい?」
「僕がセレスを危険な目に合わせるわけないでしょう!?」
「…そうだね、ごめん。ちょっと…混乱してる」
「僕も…です。しっかりと目に入ってるのに、頭の中には何も入ってきません」
「「……………。」」
二人があの場を動かずに何事かを話し合っているのを、私は水魔法を放ちながら眺めていた。
たくさん取り込めるのはいい事ではなかったのだろうか。アレンさまの役に立てると思ったんだけど…。
何となくモヤモヤした気持ちになりながら、手の平に光を灯す。私の魔力。アレンさまが教えてくれた、私の光…。
明るい中庭で見るその光はとても心細くて、どんどん不安が増してくる。
私が何者でもいいって言ってくれたよね?そのままで大丈夫だよね?……側にいさせてくれるよね?
そんな考えが頭の中をグルグル回る。
グルグル…グルグル…回る……?
そこで私はパタリとひっくり返った。
「「セレス!!」」
二人の声が遠くから聞こえる。
あぁ……なんて…気持ち悪い………。




