最優秀論文
彼の登場とともに大きく沸く大ホール。
私もこれでもかというほど大きな拍手を送る。
銀色の魔法使いが右手を掲げる。
同時に彼の周りに現れる20名の各研究室室長。
われらがリーダーの登場に、大ホールが一段と揺れる。
銀色の魔法使い、王立魔法研究所所長、アレンディオ・イェーガーが一歩前に進み出る。
すると波が一瞬で引くように、辺りが静寂に包まれる。
「…えー、コホン、みんな集まってくれてありがとう。楽しんでくれたかな?」
所長の問いかけに観衆は割れんばかりの拍手でもって答える。
「今年6年目を迎えた王立魔法研究所第947期生のみなさん、論文制作お疲れ様。君たちの若い情熱に触れ、ここにいる室長を始め各審査委員たちは、大いに感銘を受けました。今後も研鑽を積み、次代を担う人材へと育ってください」
ホール中が拍手で沸く。
「…とまぁ堅苦しい挨拶はこのあたりにして、始めるよーー!」
真面目な所長から一転、いつもの口調に戻るアレンさま。隣では副所長が手を頭に当てて首を振っている。
空中に文字が浮かび上がる。
第947期生
最優秀論文賞
第一研究室
エリック・ゴードン
「「よっしゃああああ!!」」
「エリック!エリック!やったよ、君!!」
「ゴードン君!すごいすごい!!」
「なぜだぁぁぁーー!!」
第一研究室の面々は喜び爆発である。
皆で肩を叩き合い、キース先輩とケインズ先輩は涙ぐんでいる。
エイデン先輩だけは何故か両手両足を床に付いて項垂れている。
舞台上の副所長は周りにわからないよう両手で小さくガッツポーズだ。
当の本人はというと…。
「え、え、何?これ盛大なドッキリ…?」
と、現実が認識できていない。
「胴上げだ!!」
私以外のみんなでゴードン君を担ぐと、魔力で空中に大きく放り上げる。
それに合わせてホール中から拍手が降り注ぐ。
ゴードン君は空中から降りてくるたびに「え、え?」と困惑を浮かべる。
「はい、おめでとー。じゃ講評でーす。ネモ室長どうぞ」
舞台はさくさく進行する。
「特殊能力研究室のネモですじゃ。エリック・ゴードン君…す ば ら し い論文じゃったっっ!!そもそも魔眼の持ち主というのはその能力を秘匿する者が多い中地道な事例研究とフィールドワークによって積み重ねられたウンタラカンタラ………」
「はい、ネモ室長ありがとうございましたー。じゃ、みんなこれからも頑張ってね!」
そう言うが早く、舞台上の全員が風のように消えた。
大ホールでの興奮の余韻も冷めぬ中、第一研究室はお祭り騒ぎだった。
副所長が表彰状と盾、そして賞金の目録を持って現れた時、それは頂点に達する。
こうして私の中間発表は無事に終わったのだった。
ちなみにゴードン君は、「父ちゃん…じいちゃん…」と呟いていた。
親孝行だなぁ!




