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ブラックホールに飛び込みたい

作者:米山みお
あの頃から、僕は少しでも近づけたのだろうか。
憧れの・・・そして初恋の清水先生に。

 大学受験を控えた高校三年の夏。特進クラスの担任である僕は、受験戦争のため殺気立つ生徒たちに囲まれながら、何不自由のない孤独な教員生活を送っていた。生徒に寄り添うどころか、生徒に近付くことすら叶わない、なんとも情けない教員生活・・・。
いつものように僕の面白い話し(と思いたい)が生徒たちにカレーにスルーされたところで、僕は教室を去ろうとした。
「先生」
 僕の前に立っていたのは背が小さく、日本人形のような黒髪おかっぱで、狼のように鋭い目つきの少女、佐伯結実だった。
「な、なにかな。佐伯さん。もうみんな帰ったけど・・・」
 佐伯さんは僕を睨みつけながら言った。
「先生。私、先生の・・・ドロドロが見たいです! 」
 拝啓、清水先生。僕は。僕は生徒に寄り添うことができるのでしょうか・・・。
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