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木乃香、22歳【01】

世の中の多くの人は人生の三割は働いているらしい。寝ている時間も含めたら、自由に好きなことを出来る時間はどれほどあるのだろう。

人生で多くはないプライベートの時間のために、大抵の人は好きではない仕事を頑張っている。家族のため、自分のため…。


花咲木乃香もその大勢の中の一人だ。IT会社勤務、22歳、社会人一年目である。熱狂できるほどの趣味はないがプライベートの時間は大切にしたい、そう思っている。その考えから、木乃香はあえて新入社員の身の丈には会わないマンションに住んでいた。神奈川県の某市にあるファミリータイプの2LDKの一室に一人で住んでおり、会社からも30分という好物件だ。家賃は高くなるが、満員電車に揺られ狭い室内で窮屈に感じるよりはマシだった。お金がかかる趣味もないし丁度良い。




季節は9月、紅葉にはまだ早いがカラッとした空気が吹き抜ける。18時半過ぎになる頃には、いつも木乃香は住んでいるマンションに帰ってきていた。

IT業界はブラックな環境が多いと言うが、木乃香の会社は幸いにもクリーンな業務形態でトラブルがない限りは残業一時間程で退社ができていた。


木乃香がマンションの前にある公園を通りかかると、そこにいつもの少年は居た。肌寒い季節だというのに、その少年は半袖半ズボンで地面に蹲っている。何か地面に描いて遊んでいるようだ。いつも俯いているので顔は知らない。以前、気になってこっそりと様子を見ていたら19時になると同じマンションに戻っていた。その少年はどうやら同じマンションに住んでいるらしく、19時には部屋に戻っているらしい。

家庭の事情でいつも公園で待っているのだろうか?近頃は物騒なことも多いので心配ではあるが、木乃香が声を掛けることで木乃香が不審者になりかねない。そんな保身のため、木乃香はいつも少年を見過ごすことしか出来なかった。


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