表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

【番外編】もう遅い

このラノの投票が始まったらしいです。


「ダンジョンおじさん」4巻も対象です。

本作の今後の展開を望む方は投票よろしくお願いします。


https://konorano2026.oriminart.com

「ゴトウ、今日をもってお前はパーティをやめてもらう!」


「えっ!?」


「お前、補助魔法ばかりで前線で戦わないじゃん」


「っ……」


「俺達が命懸けで戦ってる中、お前はいつも安全圏にいる。それがずっと引っ掛かってたんだ」


 こうして、ゴトウはパーティUnityから追放された。

 どこにでもある……ありふれた追放だ。


 ◇


 ゴトウの抜けたパーティUnityは洞窟ダンジョンに潜っていた。


 グルゥ


 Unityは鎧をまとまった狼と対峙していた。


「せい……!」


 戦士職のヤマダは斧を狼に叩き付ける。


 しかし……


「っ……!」


 普段であれば、一撃でHPの1/3は削れるのに、今日はその半分、1/6程度しか削れていないのだ。


鎧狼(がいろう)ってこんなに強かったか!?」


「くそっ、今日のモンスターはいつもより数段、強い」


「……」


「いや……これって……」


 パーティUnityはすぐに気づくこととなる。


「はぁ……はぁ……なんとか倒せたか……」


 3人はなんとか鎧狼(がいろう)を退けた。


「なぁ、ヤマダ……やっぱり……」


「っ……」


 と、その時であった。


「えっ……」


 グギャァアア!!


「「「っ……!!」」」


 けたたましいモンスターの咆哮が聞こえる。


 三人はその方向に顔を向ける。


 洞窟の奥から巨大な狼が顔をのぞかせる。


 三人は血の気が引く。


「おいおいおい……嘘だろ……」


 巨大な狼が三人の存在に気が付く。


「っ……!!」


 そして、狼はゆっくりと三人に近づいてくる。


「や、やばい……」


 その時であった。


「あー、マスター、いましたいましたー!」


「「「っ……!?」」」


「おぉー! 本当だ! あれがランクMの役狼(えきろう)か」


「そうみたいですね」


 謎の褐色肌の少女とおじさんが現れる。


「って、あれ……? しかし、ひょっとして先客が……」


 おじさんがUnityの方を見て、幾分、残念そうにする。


 Unityのメンバーは一人は茫然として、一人は首をぶんぶん振り、一人はどうぞどうぞというように掌を役狼(えきろう)へ向けている。


「どうやら、いいみたいですね」


「あぁ……」


 ◇


 ==========================

 役狼(えきろう) ランクM

 ==========================


 一瞬の出来事であった。


 巨大な狼は一瞬にして、見慣れないエフェクトと共に消滅した。


 Unityのメンバーには何が起きたのかすらわからなかった。


「お疲れ様です、マスター」


「あぁ、ありがとう」


 おじさんと少女はそのまま去ろうとする。


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!」


「……?」


 Unityのヤマダがおじさんを引き止める。


 おじさんは足を止める。


「えーと……なんでしょう……」


「あの……自分達……実力以上のダンジョンに潜ってしまい……」


「……! そうなんですね……えーと……」


 おじさんはメニューを弄り始める。


「自分達、少し前までは4人パーティで……」


「……?」


「補助役がいたんですが、そいつのこと辞めさせちゃったんです。で、そいつがいなくなったことで、こんな事態に……」


「あ、ありました。どうぞ」


「え……?」


 おじさんはダンジョン脱出アイテムの"ダンジョンエスケープ"を四つ分けてくれた。


「その……すみません……ありがとうございます」


「いえ、別にお気になさらず……」


 そう言って、おじさんは去ろうとする。


「あ、あの……! もうちょっとだけ待ってください」


「……?」


「ひ、ひとつ多いのですが、ダンジョンエスケープが……」


「……! あ、えーと……」


「お、俺達、あいつを……ど、どうすれば……」


「……? よくわかりませんが、普通に謝ったらいいんじゃないですか?」


「「「っ……!」」」


 ◇


「申し訳ない! ゴトウ……俺達が間違っていた!」


「っ……!」


「ゴトウが掛けてくれていた補助魔法のおかげで俺達は戦えていたのだと、身に染みて感じたよ……本当、恥ずかしい……」


「ムシのいい話だというのは百も承知だ。だけど、もしまだ他のパーティとかに入っていないなら……戻って来てくれないだろうか……」


「もう……遅いなぁ……待ってたよ」


 ……


 こうして、無事、パーティUnityは元の4人に戻れたのであった。


「それにしてもどうしてこんなに早く、元に戻ろうって?」


 ゴトウは三人に尋ねる。


「いやな……謎のおじさんが……俺達に正しい道を示してくれたんだ……」


「謎のおじさん……?」


「そうなんだ……その人は慈悲深くも、三人だった俺達に四つのダンジョンエスケープを分けてくれたんだ……」


「……!?」


「そう……まるで元に戻るべきだと告げるようにな……」


「あぁ……俺は一生、あのおじさんを忘れることができないぜ……」


「しかし、いくらなんでもあの巨大な狼を一瞬で仕留めるって本当に人間だったのか……?」


「もしかしてゲームが用意したイベントだったのでは?」


「そうだな……おじさんの幻影……あるいはおじさんの妖精だった可能性も否定できない……」


 そんなことを言われるおじさんであった。


 ◇


「……そういえば、マスター、なんで先程、あの者達にダンジョンエスケープを4つ渡したのですか?」


「え……? あぁ…………普通に間違えた」

このラノの投票が始まったらしいです。


「ダンジョンおじさん」4巻も対象です。

本作の今後の展開を望む方は投票よろしくお願いします。


https://konorano2026.oriminart.com

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

<カクヨム版ダンジョンおじさん>

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ