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ダンジョンおじさん  作者: 広路なゆる


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67.おじさん、ものひろい

「ギャゥ……っ!」


 最後のナイーヴ・ドラゴンがエフェクトと共に消滅する。

 今度はライキリ・トカゲの時のようなラグは発生しない。


「オーナー、お疲れ様です!」


 シゲサトが簡単に(ねぎら)う。


「……っ」


 ロワは旅の者達の想像以上の実力に単純に驚いていた。


 龍人の精鋭達が苦戦していた謎の新興ドラゴンを旅の者達は全くと言っていいほど寄せ付けなかったからである。


「貴方達……すごくお強いですね……」


「有難うございます……! でも、ナイーヴ・ドラゴンが問題のドラゴンだったなんて……」


 シゲサトは少々、腑に落ちないような表情をしていた。


「奴らはナイーヴ・ドラゴンというのですか……ちなみに他の種類もいますが、とりわけ彼らは特に強力です。奴らは集落の子供達が読む絵本に出てくる伝説のドラゴンに姿形が似ているのです……私も子供の時に読んだ絵本でもあるので、少々、不気味ではあります」


「そうなんですね……それは確かにちょっと不気味ですね……でも、それはそうとして、ロワさんもとても強かったです!」


 シゲサトはそのようにロワを讃える。


 ジサンの目から見ても、確かにロワは強かった。

 ナイーヴ・ドラゴンと肉弾戦を演じ、見事、一体のナイーヴ・ドラゴンを仕留めたのである。

 ジサンは少々、ナイーヴ・ドラゴンに情が湧いていたため手を出さず、シゲサト、ミズカ、そしてサラにお任せしていた。

 ちなみにサラは躊躇なくナイーヴ・ドラゴンを一体、消し飛ばしていた。


「いえ、私など龍化もできぬ、未熟者です」


 シゲサトの賞賛に対し、ロワはそのように謙遜する。


「龍化っ!?」


 浪漫のあるワードにシゲサトが再び目を輝かせている間に、ジサンは考える。


(しかし、確かに、そこら辺のダンジョンに比べるとかなり高ランクだな……)


 ナイーヴ・ドラゴンはランクNの強敵だ。


 カスカベ外郭地下ダンジョンが基準となっているジサン、サラにとっては難敵とは言えないかもしれない。

 しかし大多数のプレイヤーにとってはそうではないだろう。

 そこら辺のダンジョンにナイーヴ・ドラゴン三体が出現しては、多くの被害者が出るだろう。


「シゲサトくん、そういえばさっきのライキリ・トカゲのランクは何だったのかな?」


「え? 何だったかな、ちょっと確認してみます」


 そう言うとシゲサトはディスプレイで確認する。


「あ、えーと、ランクGですね」


「ありがとうございます」


(……結構、差があるな)


「えっ!? 珍しいですね」


 傍らで話を聞いていたミズカがそんな感想を述べる。


 ミズカが少なからず驚きを示したのは、それが一般的なダンジョンではあまりない現象であったからだ。

 通常は似たランク帯のモンスターが配置される傾向にあるからだ。


 ただし、何事にも例外は存在する。


 その一つがカスカベ外郭地下ダンジョンである。


 ()のダンジョンは生息モンスターのランク幅が非常に大きいダンジョンとして有名であり、誰よりもそれを知っているのはジサンであった。


「ひとまず先へ進みましょう……」


 ◇


「サラちゃん」


「なんだ?」


 邪龍ドラドが差すポイントへ向かう道すがら、シゲサトが前を歩くサラに声を掛けるがサラは首だけ捻って対応する。


「あ、いや、何でもないよ」


 サラの釣れない対応にシゲサトは悪いと思ったのか口を(つぐ)む。


「な、なんだ……気になるではないか」


 自分で塩対応しておいて、いざ何でもないと言われると気になってしまうサラであった。


「い、いや……大したことじゃないんだけど、背中に虫が付いてるよ」


「えっ!? 虫? どこ!?」


 サラは意外にも動揺して虫を引き剥がそうとクネクネと動いている。


「あ、取れた」


「な、なんだこの虫は……!」


「うーん、見た目はゾウムシにちょっと似てるけど」


「虫けらの種類などどうでもいいのだが……!」


(ゾウムシ……? ……しかし、あの不遜なサラが動揺することもあるんだなぁ)


 と、ジサンはシゲサトとサラのやり取りを横目に見る……と。


「お……」


 ジサンは道端で綺麗な鉱物を発見する。


(……何だこれ、高く売れる奴か?)


 ジサンはその鉱物に手を伸ばす。


「どうしましたか……? キノコでも見つけましたか?」


 おじさんの不審な物拾いに気づいたロワが声掛けをする。


「あ、いや、鉱物(こうぶつ)を発見したので」


「鉱物ですか……」


「あ、はい、綺麗だったのでつい」


「そうですか……ですが、それはあまり貴重なものではないと思います。ほらっ、その辺にもたくさん落ちていますし……」


「え……?」


 そう言われて辺りを見渡すと確かに綺麗な鉱物が点々と落ちていた。


(あまり珍しい物ではないのかな……)


 などと考えているうちに鉱物が消滅する。


 つまり、アイテム化されたようである。


[サイドライト鉱石 を入手した]


(一応、れっきとしたアイテムではあるんだな……)


「ロワさん、ドラドさんってどんな方なんですか?」


 サラの背中から虫を除去したシゲサトがロワに聞く。


「賢龍ドラド様は私の憧れの方です。気高く、謙虚で誠実……彼にこそ明鏡止水という言葉がよく似合う。そして何より、お強い」


 ロワはまるで子供のように目を輝かせて、ドラドについて語る。


「おぉー! 凄い方なんですね! 益々、会うのが楽しみになってきました!」


「この辺りだよー」


 シゲサトが鼻息を荒くしていると、ミズカがのんびりとした口調でそんなことを言う。


(ん……!?)


 木々の陰に建造物があった。


「な、なんなんでしょう……これは……!」


 ロワが驚きを見せるのも頷ける。

 それは森の中にあるには、極めて異質……まるでスパ・リゾートのような外観をしていた。

 そして、その入口には、何やら巨大な看板が掲げられていた。


[本ダンジョンにおいては()()()()()()()でないと入場できません]



「「「え……?」」」



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