55.おじさん、止められる
牧場を訪れたジサンらはホッカイドウに移動していた。
そして、ホッカイドウはサロマコのサロマ・レイク・ダンジョンへ挑もうとしていた。
「レイク・ダンジョンに行かれるのは自粛していただけませんか?」
しかし、いざダンジョンの入口に来ると、赤の武装をした人々、P・Owerのメンバーの固そうなお兄さんがなぜか待機をしていた。
そして、ダンジョン攻略の自粛を要請されていたのである。
「いや、だから何で君達にそんなこと言われなきゃいけないんだよ!」
シゲサトは抗議する。
「ですから、魔王討伐者が何者かに命を狙われる事件が多発していまして……」
「それは知ってるけど……」
(……)
「ってか、ダンジョン攻略だけ自粛しても意味なくないですか?」
「プレイヤー間の攻撃が有効であるのは、ダンジョンのみですから、それなりに有効かと」
「う……」
シゲサトは抗議するもお兄さんも中々、手強かった。
「どうしても止めるの?」
「どうしてもです」
「それってもう自粛要請じゃないよね?」
「……」
お兄さんは眉間にしわを寄せる。
と、
「まぁまぁ、行かせてあげなよ」
「!?」
シゲサトとお兄さんが問答をしているところに別の男性の声が響き渡る。
「やぁ……!」
男性は右手を軽く上げて、お兄さんらに挨拶する。
(あ……)
そこにはジサンが辛うじて見覚えのある緑のおじさん、及びネコ耳の少女がいた。
かつてジサンに職質をしたエクセレント・プレイスのメンバーであった。
「ひ、ヒロさん!? えっ……でも、どうしてこんなところに!?」
「P・Owerさんが情報を公開してくれましたから……」
「それにしてもこんなところまで……」
エクセレント・プレイスの活動拠点はトウキョウ周辺であった。
ホッカイドウの中でも北東の端に位置するサロマに彼らが訪れているのは、確かに少々、不思議な事態ではあった。
「それより流石にそれはやり過ぎじゃないかな?」
「そうニャ! 実際、目的は守護じゃニャくてターゲットの捕縛ニャ?」
「し、しかし……」
先ほどまで、やや高圧的であったお兄さんはタジタジとしている。
(……もしかして、この緑の人、まぁまぁ有名なのか?)
「じゃあ、僕が彼らに付き添ってあげるから……それでいいかい?」
「…………ヒロさんがそう言うなら……」
お兄さんはあっさりと納得する。
「シゲサトさん……すまないがそれで納得してくれないか?」
「えー…………まぁ、いいですけど」
シゲサトはこのままでは埒が明かないと感じたのか、渋々、合意する。
ジサンも少々、嫌であったがシゲサトが合意してしまった以上、仕方ないかと諦める。
「ってあれ……」
「……!」
ヒロがジサンを見る。
「………………どこかで見たことあるような……そちらの子も……」
(よかった……忘れられている)
ジサンはほっとする。
「いえいえ、きっと初対面ですよ」
「そうですか……」
ヒロは少々、腑に落ちない表情であった。
何はともあれ、こうして奇妙なメンバー達のダンジョン攻略が始まるのであった。




