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ダンジョンおじさん  作者: 広路なゆる


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50/121

50.おじさん、気まずい

「大変ではありましたが、無事、カスミガウラでのミッションは達成です……」


 二体目のレンコーンをジサンがテイムに成功。

 その後、ひとまず立ち寄ったクエスト斡旋所にてシゲサトが少々、疲労した様子で言う。


 二体目のレンコーンが出現するまでに要した時間……実に五時間……なかなかの長期戦であった。


 収穫作業の終盤では、ほとんど全員が無言で煉魂を漁り続けた。

 だが、シゲサトはジサンに対して小言一つ言わなかった。

 コレクターの性分というものをちゃんと理解しているのだろう。

 なお、ジサンは無事にレンコーンをテイムできて、ほっこりしていた。


 ジサンらは斡旋所の入口付近にて立ち話する。


「今日はもう遅いですし……オーナーはこの辺で宿を探しますか?」


「そうですね……」


「ちなみに俺は実はこの辺に実家がありまして……たまにはそっちに顔を……」


 と、


「あれ? もしかして……シゲサト?」


(……ん?)


 そろそろ解散かというその時、背後から男性の声に呼び止められる。ジサンらが振り返ると、赤い装備に身を包んだ男女の二人組がいた。


「あ……えーと、グロウくんにアンちゃん……」


 シゲサトは彼らのことを知っているのか、プレイヤー名を口にする。


「シゲサト……帰って来ていたんだな……」


「う、うん……」


「しかし、お前、有名人だな……まさか本当に魔王を……しかも一人で討伐しちまうなんてよ……」


「そ、そうかな……」


 シゲサトは幾分、いつもより歯切れが悪い。


「あ、えーと、そちらは?」


 グロウがジサンらの方を見て、聞いてくる。


「あ、えーと、今、パーティを組んでもらっているオー……ジサンさんです。あとこっちはサラちゃんです。テイム仲間として意気投合してね……」


 シゲサトが二人を簡単に紹介する。


 グロウは地味なおじさんと褐色少女の異色のペアを怪しく感じたのか、幾分、訝しげにジサンの方を見ている。


 一方、女性の方、アンはジサンらにはあまり興味がないのか、グロウの方をじっと見ていた。


「えーとね、この二人はグロウくんとアンちゃん、同級生だったんだ……」


 グロウは短髪で比較的、顔が整った……多少、気難しそうではあるが好青年だ。

 アンは割と長めの髪で眼鏡を掛けた女性であり、ジサンは彼女に対し物静かな印象を抱いた。


「えーと、今は……」


「自治部隊〝P・Ower〟のメンバーです」


 ジサンはやっぱりなと思う。赤の装備は東ニホンにおける最大勢力の自治部隊P・Owerの特徴である。

 ジサンはエクセレント・ワールドの緑のおじさんに職質をされた苦い経験から自治部隊にあまり良い印象を抱いてはいなかった。


「ところでシゲサト、こんなところで何してるんだ?」


「あ、えーと……」


「今時、こんなところにいるってことは、もしかして……仙女の釣竿か……?」


「あ、いや……その……」


「全く……相変わらずだな……」


「あはは」


 シゲサトは笑って誤魔化す。


「ところでよ……前も言ったが、P・Owerに入らないか?」


「「え!?」」


 シゲサト、そしてアンが同時に声を発する。ジサンはこの時、アンの声を初めて聞いた。


「魔王をソロ討伐したシゲサトならすぐに幹部になれると思う。俺もこの地区なら顔もきく。推薦できるはずだ……」


「…………せっかくだけど、遠慮しておくよ。グロウくんがそうだったように……俺にはやりたいことがあるから……」


「…………そうか……あの時は断って悪かったな……本当に成し遂げるなんて……」


「……いや、〝断った〟のはこっちも一緒だから……」


「っ……」


 グロウは苦そうな、シゲサトは気まずそうな顔をしている。


「しかし、シゲサト……お前まだ……〝俺〟なんて言ってるのか……?」


「!?」


 シゲサトは誰とも目が合わない場所へ目を逸らす。


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【作者新作】

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