16.おじさん、共闘する
「スキル:ブレイヴ・ソード!!」
「パォオオオオオオオオ」
(おぉ……)
開幕一番、ツキハはスキル:ブレイヴ・ソードを発動する。
剣の先から放たれる極太のレーザーのような斬撃がゾウことエレキ・エレファントを襲う。
HPゲージは一気に1/3くらい削られ、残り2/3となる。
ツキハは心なしかドヤ顔だ。
(魔法:フルダウン)
ジサンは全ステータス下落のデバフ魔法をかける。
耐性が低い敵には最大二段階のステータスを下落させる凶悪なデバフ魔法である。エレキ・エレファントは耐性が低かったようで、二段階下落が成功する。
リアル・ファンタジーのステータスはHP、MP、AT(攻撃力)。AG(敏捷性)の四つである。
ただし、プレイヤーの防御力や魔法防御力は装備品のみで決まる仕様で、モンスターについては裏数値として設定されている。
「え!? ステータス全部下がった!? 魔法:フルダウン?」
ツキハが驚く。
(……あ、しまった)
ジサンは普段、魔法名やスキル名をあまり口に出さない。
だが、使用された魔法やスキル、バフやデバフの状況はポップアップとして表示される。
「パォオオオオン」
エレキ・エレファントが怒り狂うように雷を纏いながら突進してくる。
「ふん……」
ジサン、ツキハ、フェアリー・スライムはそれを避けたが、サラだけは逃げない。
彼女にとって、格下相手に逃げるなどということは例え演技中であっても許されないことなのだ。
なお、プレイヤー権限時には回避行動権限があるため、理論上は回避が可能である。
ただし、ボスには基本的に回避行動権限がないため、モンスターとしてのサラは回避行動権限がない。その代りにモンスター時には、HPが極めて高く設定されるというわけだ。
「サラちゃん!!」
ツキハは驚き、何とかサラの方へ向かおうとアクションするが、その間にもサラはエレキ・エレファントの突撃を正面から受ける。
HPは幾分、減少するが、突撃を1000回は耐えられそうだ。
「え……」
ツキハはその結果に目が点になる。
「デバフの効果がすごいみたいですぅ」
サラはにこやかに微笑む。
「あ、そうかな……」
「きゅうううん」
フェアリー・スライムが鳴き声を上げる。
エレキ・エレファントの場所に幾何学的な紋章が多発的に発生する。
フェアリー・スライムの攻撃魔法:”エレメント”の発生エフェクトだ。
「パォオオオオン」
[CRITICAL HIT]
クリティカルヒットの情報がポップする。
エレキ・エレファントのHPが激減し、残り1/8程度となる。
「え……」
フェアリー・スライムはレベル60、エレキ・エレファントより格上だ。その上、魔法防御が二段階下落していてクリティカルヒットしてしまえば、これくらいのダメージは当然だ。
テイムするためには止めは自ら刺さなくてはいけない。
ジサンはアングラ・ナイトのその高い敏捷性を駆使し、一気にエレキ・エレファントに接近し、剣を突き刺す。
エレキ・エレファントのすでに少なかったHPゲージは一気に目減りするが、残り1のところで停止する。
[エレキ・エレファントが仲間になりたそうだ]
[テイムしますか?]
[はい]
ファンファーレが流れる。
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■エレキ・エレファント ランクN
レベル:50
HP:998 MP:200
AT:420 AG:187
魔法:サンダー
スキル:ボルトッシン、フラワーウォーター
特性:巨体
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久しぶりのランクNテイム成功に、ジサンも満足げだ。
「…………え、テイムしちゃったんですか? えっ? えっ?」
ツキハは混乱している。




