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ダンジョンおじさん  作者: 広路なゆる


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133/147

133.おじさん、ブタ祭

 2043年6月15日――

 多くのオークの(オーク)の森にて。


「ブヒブヒィイイイイイイ!!」


[ファッティ・オークが仲間になりたそうだ]


[テイムしますか?]


[はい]


 ==========================

 ■ファッティ・オーク ランクK

 レベル:35


 HP:1012  MP:23

 AT:422   AG:2


 魔法:ダウン

 スキル:デビル・スピア

 特性:贅肉

 ==========================


「小嶋くん、グッジョブ!」


「あ、どうも……」


 ファッティ・オークのテイムに成功したジサンをサイカが手をパチパチさせる少々、可愛い子ぶったリアクションで讃える。


「…………」


 サラは幾分、不満そうである。


 かつて小嶋少年が密かに憧れていたクラスの地味系ゆるかわ女子は本質的に小悪魔である。

 確かに歳は重ねている。

 しかし、加齢による有利・不利を極力生み出さないためなのか豊富に存在する老いの抑制アンチエイジングアイテムの効果により、ゲーム開始以降、平均的な見た目年齢はマイナス10、人によってはマイナス20まで下げることができていた。


 サイカは元いたクランであるリリース・リバティ時代に築いた老いの抑制アンチエイジングアイテムの入手ノウハウにより、豊富な知識を有していた。


 更に、牧場に入ってから、リリース・リバティに居た頃に比べるとストレスフリーであるせいか近頃、若返りが著しく、実年齢と比較すると、かなり若く見えた。


 なお、ジサンは老いの抑制アンチエイジングアイテムは使用していないため、肌の疲れが如実である。


「ぬ、主……年相応の立ち振る舞いをだな……」


「あら、ごめんなさい。サラちゃん、でもサラちゃん、年相応って意味だと、サラちゃんにはオトナの関係は難しいんじゃないかしら?」


「っ!? おおおお、オトナの……!?」


 サラは”オトナの”というフレーズに、アワアワと焦り、頭から湯気でも出ているかのようであった。


 サイカの煽りで、簡単にポンコツ化するサラの姿からは、かつて、恐怖で失禁させ、させられた関係であるようには見えなかった。(ジサンはこの事実を知らないが)


「茂木さん、気を付けてください、次のオークが来ます」


「了解!」


 ジサンが注意を促すように、別のオークが彼らを発見し、襲い掛かってくる。



 ◇



「それにしても結構、人がいるね……」


 サイカが周囲を見渡しながら言う。


「そうですね……」


 ジサンも改めて見渡す。(オーク)の森というだけあって、樫の木がうっそうと生い茂っている。

 季節は雨が降りやすい時期であるが、天気は快晴だ。

 しかし、多くの木々が光を遮り、森の中はやや薄暗くなっている。

 そんな森の中を、見える範囲だけでも自分達以外に四つのグループが探索していた。


 今まであまり参加していなかったがイベントって意外と参加者が多いのだなぁと思うジサンであった。


 それよりも少々、疑問に思ったことがあった。


「あの人たち、テイム武器を使っていないけど、どうしているのだろうか……」


 ジサンが口に出した通り、イベント参加者の多くはテイム武器を使用しているようには見えなかった。

 イベントの報酬を得る条件は食用として良質なオークを入手することであったことからテイムしないと意味がないんじゃないか? とジサンは思ったのであった。


「えーとね、小嶋くん、実は生産系のモンスターはテイム以外に”ハント”することが可能なの」


「ハント?」


 ジサンには聞きなれない言葉であった。


「うん、戦闘前にハントアイテムを使用しておくことで、ハンティング状態になり、その状態で生産モンスターを倒せば、一定確率でハントに成功するっていう仕様みたい」


「なんと!」


「ただ、ハントはテイムと違って、モンスターをアイテム化するから、そのモンスターを使役することはできないみたい」


「なるほど……」


(じゃあ、テイムの方がいいな……)


「ハントアイテムはテイム武器ほど入手が難しくなく、求めれば安価で購入も可能だし、戦闘時のプレイヤーの弱体化のデメリットもないから生産者からするとこちらの方が主流みたい」


「そういうことですね……」


 ジサンらはこれまでファーマーと戦士職複数名という構成のパーティといくつかすれ違っていた。

 ジサンらもその一例ではあるが、戦士職が用心棒兼ハンターの役割を担っていることが予想できた。


「ちなみに牧場に入ってから、品種改良や出荷ができる点はテイムもハントも扱いは同じみたいね」


「へぇ~、知りませんでした」


 言われてみると、オーク肉などは高級食材ではあるが、それなりに流通していることを考えると、全国にはそれで生計を立てているプレイヤーがかなりの数いるということか、とジサンは今更ながら思うのであった。


「って、あれれー? あなたはまさかサイカさんじゃありませんか?」


「っ!?」


 ジサンらが呑気にテイムとハントの違いの話などをしていると、前方から来たパーティとのすれ違いざまに突如、声を掛けられる。




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