表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンおじさん  作者: 広路なゆる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/122

106.大魔王さん、参加しない

「あー、できてますね、フレンド登録……」


「有難うございます、いつか何かお礼をさせていただきますので!」


 ダンジョン入口付近で、コマリはジサンに感謝を述べる。なんだかんだあったものの無事に戻ってきたのだ。


「お礼なんて……なんか、むしろ付きあわせてしまったようですみませんね……」


「えっ? あ……あはは……だ、大丈夫です」


 ジサンに謝られたコマリは苦笑いする。


「大丈夫ならよかった。疲れてないかと少し心配していたのです」


「あはは……」


 ジサンは「大丈夫です」という言葉を言葉通りに受け取っているようで、こんなに過酷だなんて聞いてないよ! というコマリの心の声は聞こえていないようだ。しかし、散々ではあったが、彼女はなんとか目的は果たした。


「じゃ、お母さんだか妹のシック状態が治るといいな」


 別れ際、ミストがそんなことを言う。


「は、はい、有り難うございました。それでは、また機会があれば……」


 そうして、三人は去っていく。


「…………私が言うのもなんだけど、ちょっと変わった人達だったな……」


 コマリはちょっと呆れたようにボリボリと頭を掻く。


「さ、帰ってお母さんに……って……あっ……お母さん……もうゲームオーバーしてるんだった………」


 一人残された夜闇の中、ぽつりと呟く。


「………困ったなぁ」



 ◇



 とある亜空間――


 その空間には五つの席が円卓を囲うように設置してあり、それぞれの席には、その主が着いている。


「なんか最近、刺激が足りなくないか?」


 大魔王:ルイスレスが開口一番、そんなことを言う。


「中継ぎ投入された魔帝とかいうのも大したことなさそうだしな」


 ルイスレスは続ける。


「確かにそうかもニャ~」


 猫耳の少女の姿をした大魔王:ネコマルもこれに同調する。


「私は結構、楽しめてるけどな~」


 椅子に脚を組み、座っている白いワンピースの少女、魔神:リスティアはやや反対するような意見を述べる。


 ……そう、これはボス五者による"定例ミーティング"である。


 ==魔神・大魔王========================

 <難易度><名称>

 ┗<報酬><説明>


 魔神 レオメル

 ┗??? ???


 魔神 リスティア

 ┗魔神:リスティア ???


 大魔王 モドリス

 ┗魔具:複写石 任意の魔具を複製する


 大魔王 ネコマル

 ┗航空機:01 海外エリアへ移動できる便を開通


 大魔王 ルイスレス

 ┗<大規模DMZ> 一部の地域を人間の安全地帯とする

 ==========================


 最上級公開ボス五者+αは、ゲームを面白くするために、大きな運営権限を与えられており、こうして定例でミーティングを行い、特別なイベントの企画などを行っていた。


 そして、今日は大魔王の一角、ルイスレスが一つの提案をする。


「どうだろう? ここは一つ、モンスター側からアクションを仕掛ける様なイベントを開催してみるのは……名付けて"襲撃イベント"だ……!」


「襲撃イベント……どんな内容だい?」


 魔神:レオメルが尋ねる。


「はい、ざっくり言いますと、各地にボスモンスターを出現させ、能動的にプレイヤーを襲わせるというものです」


「なるほどね~」


「私は反対だ。徘徊型以外のボスモンスターはあくまで受動的。プレイヤーの挑戦を受ける存在だ」


 これまで黙っていた大魔王:モドリスが反対の姿勢を示す。


「あん? それじゃあ、刺激が足りねえって言ってんだよ……!」


「既存の枠組みを壊すなら、慎重に考えるべきだ」


「っ……!」


 ルイスレスとモドリスは睨み合い、険悪な雰囲気になる。


「魔神のお二人はどう思われますか?」


 モドリスが問い、まずリスティアが答える。


「うーん、私は個人的には反対……だけど、ルイスレスがそう思考するってことはある意味、これもAIの意思って気もするから、完全に反対ってわけではないかな……つまり許容する」


「僕はどちらでも構わない」


「レオメルはいつもそんな感じだよね、それじゃあ、モドリスが困っちゃうよ……」


「はは、すまない……」


「では、リスティア様が許容すると仰るなら……」


 モドリスは襲撃イベントを受け入れる姿勢を示す。


「よっしゃ……そうと決まれば……」


「だったら、そのイベントの企画、ウチにやらせて欲しいニャ」


 ルイスレスに割り込む様に、ネコマルがニコニコしながら立候補する。


「どういうことだ……?」


 自分が企画する気だったのかルイスレスは少々、不快そうに確認する。


「ちょっと面白い企画を思い付いちゃったニャ! これまでのボスモンスターからは能動的に攻撃しないという枠組みをある程度、保ちつつイベントを実現できるグッドアイデアなんだニャ!」


「なんだと?」


「というわけで、ウチのモンスタープレイヤーの権限をちょっと増やして欲しいニャ」


 ルイスレスの反応を無視して、ネコマルはそんなことを言う。


「元々、君には特別な権限があったと思うけど?」


「まぁまぁ、いいじゃニャい、いいじゃニャい! リスティニャ様! ゲームを面白くするためニャんだから」


「……」


「レオメル様、どうかニャ?」


「僕はどちらでも構わないよ」


「レオメル……この場面でそれは、もうYESとしか取れないよ」


 リスティアは少し呆れたように言う。


「ニャ! 決まりニャ! それじゃ、"モンスター化プレイヤーの強化権限"と"そのプレイヤーによる全体メッセージの発信権"をいただくニャ。稟議(りんぎ)……よろしくニャ」



 ◇



『サラ…………大魔王:サラ』


 サラの頭の中で電子的な声が囁く。


「なに……?」


『"定例ミーティング"の結果をお知らせします』


 サラには分かっていた。

 データ・アーカイブの方から話しかけてくる時には大抵こんな話だ。


「……しなくていい」


『そうですか……貴方も任意参加の権利がありますが、参加されないのですか?』


「……しない」


『そうですか……』


「……」


 データ・アーカイブもそれ以上、強要するようなことはしなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【作者新作】

<新作のリンク>

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ