104.おじさん、クラゲ
ディクロの誤報告により牧場に戻ったジサンとサラはついでにとアクアリウムを訪れる。
「よぉ、ジサン、来たのか」
「あぁ……お疲れ様」
アクアリウムでは、鮮やかな橙色地に白い斑模様というややアバンギャルドなパーカーを着た中性的な青年がいた。
彼は現在、ジサンのアクアリウムの館長を務める魔帝:ジイニである。
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アクアリウム
アクアリウムレベル:7
場所:カワサキ
オーナー:ジサン
館長:ジイニ
スタッフレベル:73
入館料:100カネ(閉館中)
評判:★★☆☆☆(5)
施設:小型水槽群、淡水コーナー、陸あり水槽、熱帯水槽、大型水槽
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ジイニが来てからというものアクアリウムレベルが2、スタッフレベルが10上昇していた。
アクアリウムレベルの上昇に伴い、熱帯水槽の施設も追加した。
しかし、ジイニから一度下された評判は元に戻すことができないから、ある程度、他人に見せられる状態になってからオープンした方がよいのでは? という提案を受け、現在は閉館中である。
この閉館期間中に、館内は整備され、空水槽はなくなり、スタッフもかなり増えていた。
「ジサン、まずはこの水族館の目的や方向性、コンセプトを考えるべきだ」
ジサンはジイニからそのような進言を受ける。
「え? コンセプト……? うーむ……」
しかし、コンセプトと言われてもそんなにすぐに思いつくものでもない。ジサンは経営の才に長けているわけでもない。
「目的は一応……子供達に安全な水族館を……とは思ってはいるが……」
「……なるほど……それがはっきりしているのはいいことだな」
「しかし、コンセプトとなると……」
「……まぁ、コンセプトというとなかなか難しいかもしれないか……」
「あぁ……」
「じゃあ、せめてまずは目玉となる生体を入手しよう。オープンはそれからだ」
「目玉……」
「そうだ。じゃあ、ジサンは水族館のどんなコーナーが好きなんだ?」
「え? えーと…………クラゲとか……」
「クラゲ? クラゲってあのクラゲか……?」
「そう。あのクラゲだ……あれをぼーっと眺めているのが好きでな……」
「お、おう……否定はしない……」
「だろ?」
「が、それは結構、少数派だ」
「っ!?」
「お前、目的を忘れたか?」
「っ!?」
「どこにクラゲを好んで楽しむ子供がいるんだ?」
「えっ……!?」
(俺は結構、好きだったけど……)
「さ、サラはどう思う?」
「マスター……畏れながら…………微妙です」
(び、微妙……!?)
「そういうことだ」
「うむ……」
「ってことで、俺から提案だが、まずはシンプルに海水の大型水槽の目玉になれる生体を探してみるのはどうだろうか?」
「っ!?」
「俺が館長になったことで、スタッフレベルが上がり、生体の投入の制限はほとんどなくなったはずだ。しかし、施設を拡充するにはアクアリウムレベルを上げる必要がある。ゲームの温情なのか……低レベルから設置できる大型水槽があるが、新たな特色のある水槽や施設なんかは未だに追加されない」
「……なるほど」
「ここ一か月ほど、いろいろとやってみたが、スタッフレベルは上がってもアクアリウムレベルはなかなか上昇しない。アクアリウムレベルを上げるには、やはり水族館をオープンするのがもっとも効率的と思われる。そのために、まずは早めに大型水槽の目玉となる生体を探してきてくれ」
「そうだな……」
(……目玉か…………何がいいのだろうか……)
「ひとまず分かった」
(……ちょうど今度、海釣りに行く機会があるな……)
などとジサンはある人物との約束を思い浮かべる……
(……だけどその前に……)




