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ダンジョンおじさん  作者: 広路なゆる


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10.おじさん、強そうな武器をゲット

「ここでしばらく待つか」


「はい!」


 サラが元気に返事をする。

 ジサンとサラの二人は現在、ホンシュウとホッカイドウを繋ぐ海底トンネルであるセイホクトンネルの中間地点にいた。

 そこでジサンの特性:〝巣穴籠り〟を使用し、地下キャンプの中で夜を待っていた。


 少し前の話――


「ホッカイドウへ行きたいならバスを利用してセイホクトンネルを抜ける必要がある」


「ありがとうございまーす」


 サラが地元の人から情報を仕入れてくれる。

 もしかしたらサラはすでに知っている情報なのかもしれないが、自身が直接、仕入れた情報であればジサンと共有することができるのだろう。

 ジサンは知らない人に話しかけるということが非常に苦手であったため、サラの物怖じしない性格に助けられていた。


「だが、お嬢ちゃん、急を要する用事でもないなら、セイホクトンネルを渡るのは止めておいた方がいい」


「え? 何でですか?」


「セイホクトンネルにはモンスターが出る。トンネルの途中で無駄にバスが停車するのだが、そこはダンジョンエリアになっていて、襲撃されることもあるそうだ。特に夜の便は強力なモンスターが出るらしく危険だ。行くなら日中の明るい時間にしなさい」


「なるほど! ありがと、お兄さん!」

 

 ということは、夜のダンジョンにはレアモンスターが出現するかもしれない。


 ホッカイドウ行きのバスの途中、海底駅にて、下車した二人は他の乗客から若干、怪しい目で見られた。

 優しい人が「ここはまだ終点ではないよ」と教えてくれるのを苦笑いしつつ下車したため、ジサンは少し気まずかった。

 昼のダンジョン探索で概ねモンスターをテイムした二人は地下キャンプにて、体を休めつつ、夜を待った。


「マスター……! おはようございます」


「んあっ!」


 サラに声を掛けられ、ジサンは目を覚ます。


「マスター……ごめんなさい、私もつい居眠りしてしまい……」


「お、そうか……別にいい」


 ジサンはノソノソと起き上がり、時間を確認する。

 AM二時。


(流石にちょっと寝坊し過ぎたか……まぁ、いいか)


 二人は地下キャンプを出て、トンネル内の探索を再開する。


(暗っ!)


 キャンプを出ると、そこは真っ暗であった。どうやらこの時間帯は照明も落ちているようだ。

 通常、ダンジョンはそこが地下ダンジョンであっても明かりを使用しなくても良いくらいには可視性がある。

 それはリアリティを追求し過ぎると、ゲームとしての本質、エンターテインメント性を失ってしまうからであろう。

 だが、このダンジョンはそうではないようであった。


「きゃっ、マスター……そういうことをするならキャンプで……!」


「す、すまん!」


(そういうことって何だ?)


 暗闇でわからないが、何かがサラの何かに触れてしまったようであった。


(ひとまず明かりを……)


「っ……!」


 明かりを付けると、二人はすでに十体前後のモンスターに囲まれていたことに気付く。


「マスター……!」


「あぁ、サラ……ここは久しぶりの当たりかもしれない」


 二人を囲んでいた獰猛そうな魔物達は初出のモンスターばかりであった。

 セイホクトンネル地下ダンジョンは夜が深まるほど強力なモンスターが出現する。


 ◇


「マスター……ここに落とし穴があります。お気をつけください」


「おっ?」


 しばらく探索を続けていると、サラがジサンに警告を報せてくれる。


「落ちてみるか」


「はい!」


 サラは肯定する。

 落とし穴とは当然、トラップである。

 だが、落ちたら即死するようなことはないだろう。

 リアル・ファンタジーはそういうゲーム性ではないからだ。

 AI曰く、フェアであるということ。

 だからこそトラップに落ちた衝撃で死亡という理不尽はない。

 だが、脱出を難しくするくらいの試練はあるだろう。

 しかし、試練の先には報酬があるものだ。


「隠し部屋ですかね?」


「あぁ」


 落とし穴は滑り台になっており、その先には広い空洞になっていて、まるでボス部屋のようであった。

 そして、ゆっくりと何かが足音を立てて近づいてくる。

 どうやらここでの試練は強力なモンスターのようだ。

 二足歩行で全身は漆黒の鱗に覆われている。

 体長は十メートルくらいはありそうだ。

 龍とも獣ともとれる、いかにも強い力を有していそうな姿をしたそのモンスターの名称は〝ノーブライト〟。


 ◇


「マスター……元気を出してください。きっとまたチャンスはありますよ!」


 サラが一生懸命におじさんを慰める。


「あぁ……」


 ジサンは落ち込んでいた。


 せっかく遭遇できたレアモンスター。しかし、結果は……テイム失敗。

 テイム武器により、とどめを刺すというテイム条件は満たしていたが、確率によるテイム失敗であった。

 ジサンは高性能テイム武器を装備しており、テイムを失敗したことが逆説的にノーブライトがかなりのレアモンスターであったことを示唆しており、それがまた悔しさを倍増させていた。


「でも、ほら、結構、強そうな武器もドロップしたみたいですし」


「あぁ……そうだな」


==================================

 ■ノーブライト

 AT+428

 【効果】

 攻撃対象に確率で命中率ダウン効果

==================================


 ノーブライトは命中率ダウンのデバフ効果を持つシンプルな形状の漆黒の剣であった。 


(確かにかなりの高性能だが、テイム効果はなし……)


 どこかに100%テイムできる武器はないだろうか……そんな願望を抱くジサンであった。


 ◇◇◇


 ジサンとサラによるのんびりダンジョン巡りの日々はその後、しばらく続く。

 二人がホッカイドウのダンジョン巡りをしている頃、世間ではいくつかのイベントが発生する。

 それは、ジサンとサラがディクロと遭遇して、およそ一年後。

 パーティ〝月丸隊〟が第四魔王アンディマを討伐して以降、しばらく実現されていなかった魔王打破が立て続けに発生する。


 ◆2042年7月

 第二魔王:ラファンダル

 ┗討伐パーティ<月丸隊>

  ┝ツキハ クラス:勇者

  ┝ユウタ クラス:聖騎士

  ┗チユ  クラス:ジェネラル・ヒーラー


 ◆2042年8月

 第三魔王:ノヴァアーク

 ┗討伐パーティ<ウォーター・キャット>

  ┝ミズカ クラス:魔法剣士

  ┝ユウタ クラス:長槍兵

  ┝キサ  クラス:ヒール・ウィザード

  ┗ツキハ クラス:勇者


 第一魔王:ロデラ

 ┗討伐パーティ<ウォーター・キャット>

  ┝ミズカ クラス:魔女

  ┝ユウタ クラス:長槍兵

  ┗キサ  クラス:ヒール・ウィザード



 公開魔王の全撃破。これにより世界がまた少し変化する。


 ジサンの激動の物語はむしろここから始めるのであった。



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