殺された先で……
初めまして!開いてくださり感謝です!
物語的には7話からがメインですが……読んでいただけると幸いです!
年末というものは、誰しも家族と過ごしたり、恋人と過ごしたり、中には部屋でアニメを見たり、大掃除をしたりと、何かとプライベートの用事が誰しもあるはずだ
今年もはや残り2日だし、会社も年末だから休み……だったはずなのである……表向きは……
俺は二十四歳のブラック企業に務める、冴えない男だ。
朝8時に社長から電話があり、今すぐ会社に来いと呼び出された。俺のことを、奴隷だとでも思っているのだろう。悔しいが、今の俺には、社長に楯突くことはできない。
俺は12月の寒い朝を、自転車で会社へと向かった。
途中、受験生だろうか?予備校へと向かう二人組とすれ違ったが、彼らも年末だというのにご苦労様なことだ。
(俺も……もう少しマジで勉強して、いい大学行っとけば、こんな生活じゃなかったのかな……)
柄にもなく、昔を思い出して後悔をしてしまった。
とまぁ、頑張る受験生を見てしまい、朝から少し憂鬱な気分になってしまったが、とりあえず嫌々ながららも会社に着いてしまった。
機械音とともに、自動ドアが俺をとらえて開く。
開くと同時に
「おいサトル、てめぇ舐めてんのか?おせーんだよ!!」
と、殴られてしまった。この社長はすぐに俺を殴る。が、俺にはそれに対して反抗することは出来ない。
俺は、可能な限り早く来たつもりだ。飯も食ってないし、会社までは10分と経っていないはずだ。
「てめぇ、あんまり舐めたことしてると、殺すぞ!」
彼は、消費者金融業。しかも、今のご時世完全アウトな闇金だ。
俺が何故ここで働いている(働かされている)かと言えば、生前、親父と母さんがここから金を借りていたようで、その額なんと3億円。
俺がまだ十九歳の時に、二人とも事故だか自殺だかで死んでから、突如この社長が家に現れたのだ。
そうして、家の中身を散々ひっくり返した挙句、両親の保険金やらなんやらと、家を取り上げていったのだ。
うちは昔、親父の会社が繁盛してて、言えば、俗にいう豪邸であったのか、3億の借金が1億になったのだ。
それでも、まだ残っているので、社長のサンドバッグ兼、債務者への電話役として雇われたのだ(最低賃金額の給料)
社長曰く、逃げないように、とのこと。実際、今の俺の家は(住処?)は、会社の裏の通りのぼろアパートで、逃げればすぐ分かるようになっているらしい。
「それでな、サトル。今日は組のお偉いさんがくるから、お前はここで接待っちゅうんか?行っとるあいだ、店番しよれや」
と言って、自分はさっさと高級車に乗って、いかにもやばそうな奴らとどこかへ行ってしまった。
店番と言われても、特にすることがない。たまに返済や、期限を伸ばして欲しいなどと言いに来る利用者がいるだけで、基本的に暇なのである。
そろそろ晩飯の時間だ。そう思い、カップ麺を食べるために俺はお湯を火にかけようとした。
その時、突然そいつは現れた。
二十歳かそこらの、白いスーツを着たイケメンである。そいつの後ろには、ヤクザだろうか、いかつい奴らが数人控えている。
「……君が……ここの人?サトル君……だよね?ちょっと来てもらえるかな?……大事な話があるだ」
と言うと、片手で後ろの奴らに合図をし、俺を縛り上げて車へと連れ込んだ。車の中で、頭の後ろに鈍い痛みを感じた。
そして俺は意識を失った……
それから、どれくらいの時間がたったのだろうか、俺は足の痛みで目が覚めた。
身体が石のように動かない。
俺の身体は、身動きが取れないよう、縛られて、ドラム缶の中に入れられていたのである。
そして、足の痛みを見ようとして、目を下に向けた途端、俺は悲鳴をあげそうになった。
俺の足が、コンクリートか何かで固められていたのだ。
「気付いたかい?サトル君、君は僕を怒らせすぎた。君はやりすぎたんだよ」
俺は何を言われているのかさっぱり理解出来ない。こいつともさっきあったばかりで、そもそも見たことも今まで無かったのだ。
「何言ってるんだよ!お、俺は……俺はあそこで、ただ雇われていただ……」
「そんな事は僕が知ったこっちゃないんだよ。それに、あの会社での金の出入りは全て君名義だったじゃないか。そして、今回の金が消えたのも君のせいなんだろ?」
俺はこの時、社長に騙されていた事に気がついた。あいつは金をもって逃げたのだ。……俺に罪をなすりつけて。
「僕はね、本当はあんなはした金どうでもいいんだよ。でもね、部下に示しがつかない。だから君には死んで貰うことにしたんだよ」
顔に笑顔を描きながら、楽しそうにそう言った。
そして、
「君たち、ほら、サトル君に入れてあげて」
そう言うと、2,3人の男達が俺の入ったドラム缶に、コンクリートを流し込み始めた。
「僕は優しいからね、首から上は固めないであげるよ。あとは、海に入ってから、自力で陸に上がってね。大丈夫、君ならできるよ。」
「た、頼む!助けてくれ!俺は、俺はまだ死にたくない!!」
「あー、もううるさいなー」
そう言って、俺の右頬を思いっきり殴った。
「もう、こいつウザイから早く沈めちゃって」
クレーンが動き出し、俺を持ち上げる。
「い、嫌だ!死にたくねー!」
そんな俺の声を楽しむかの様に笑うと、そいつは俺を海へと沈めた。
(嫌だ……死にたくねーよ……死にたく……)
そうして俺の人生は幕を閉じた。
ここはいったいどこだろうか……辺り一面気に囲まれた場所にいる。身体に痛みはない。痛みはないが……俺の手も足も、俺の目に見える部位全てに何も無い。つまり、裸だ。
とりあえず、何か隠すものを探さなければ、色々とヤバい気がする。なので、とりあえず、向こうにちょうど良さそうな葉っぱがあったので、それを取りに行こうとした。
ガサガサッ
左の草むらから何かが通る音がした。
「オマエ……ニンゲンカ……ニンゲンハテキ……オレノナカマコロシタ……」
出てきたのは、なんというか、恐ろしいかたちをした、怪物だった。
逃げなければっ!
俺は全力で森の中を走った。……素っ裸のままで。
後ろから、奴が追いかけて来るのがわかる。
ただただ走った。
気付くと目の前は崖になっておりらとても登れそうになかった。
別の道にそれようとしたが、既に怪物は俺の後ろにいたのだ。
「オマエ……オイツイタ……コロス……」
そいつはオノの様なものを振りかざしてきた。
一か八か、反撃するか。
そう思ったとき
「炎属弾!」
と声が聞こえて、目の前の怪物を消し飛ばした。
文字通り、あとかたもなく消えたのだ。
「君、大丈夫?……キャッ!」
現れたのは、俺が会ったことのない女の子だった。俺が裸だったので、こちらを見ないように顔を覆っている。
俺はと言うと……もう、恥ずかしくて恥ずかしくて……死んだ方がマシかと思いましたよ、ほんと。
彼女は、何事か唱えると、カバンからローブのようなものを取り出して
「へ、変態!!はやく、これ着なさいよ!!」
と、俺に投げ渡してくれた。
それを着ると、案外心地が良い。そして、改めて彼女を見ると、銀に少し紫がかかったような髪を、長く伸ばして、鼻から下を仮面?で隠していた。15.6歳だろうか、高校生くらいで見るからにかわいい。俺のタイプだ。
「き、着れた……?」
彼女は顔を覆いつつ聞いてきた。
「あ、あぁ」
と、俺は言葉がうまく出なかった。
「それは良かったわ。でも、ゴブリンに追いかけ回される男の人って、私初めて見たかもしれないわ」
コブリン……?あれが?どう見ても、もっとやばいやつだろう!だって、ゴブリンと言えば、スライムと並んで最弱モンスターだろ!
ってか……ゴブリン?え?ゴブリン?
ここ、どこよ?
「じゃあ、私は先を急ぐから、気をつけて帰りなさいよ。じゃあね、さよなら」
と言って、さっさと行ってしまった。
しかし、ここで俺一人でいても、死ぬのは分かりきった事なので、あとからつけることにした。
「あなた何なの!それで尾行のつもり?バレバレよ!もしかしてストーカー?やっぱり変態なのね!!」
杖を構えて怒りだした。
……さっきの火の玉、あれから出たんだよな……。
「と、とりあえずそれを下ろしてくれ……。俺はただ、ここがどこなのかを教えて欲しいだけなんだよ」
(あわよくば人のいるとこまで案内を……)
「はぁ?あなた馬鹿なの?知らないでここにいるの?てか、ここ知らないって、あなた子供なの?」
「いや、だってゴブリンとか知らないし、さっきの火の玉だって魔法みたいだし、そもそも俺は、海に沈められて死んだはずだったのに……気が付いたら、裸だで森にいた訳で……」
すると、少女の顔が明らかに俺への警戒心を強めた。
「あなた……もしかして、魔物?それとも、どこかのスパイ?」
「いや、そんな訳ないじゃな……」
言い終わらないうちに、彼女は俺に殴りかかってきた……杖で。
「……ってぇ」
俺は、頭を抑えた。普通に痛い。
「あなた、人間ね?って事はスパイ?それともただの変態?」
はじめまして!そして、最後まで読んでくださありありがとうございます!まだまだひょっこなんですが、頑張りますw
ボチボチ更新するので、よければ間たら見てください!