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某普通中学生の異世界攻略  作者: 天竺霽
第一章 マーガレット
1/8

プロローグ 入学式

四月 一日_____


第百回竹上中学校入学式。

記念すべき百回目の入学式に一人の男子生徒が登校する準備を着々と進めている。

ちなみに朝ごはんは食べていなく、制服もまだ着ていない。

影本俊哉。通称シュンシュン。今日で中学一年生だ。

趣味は小説を読むこと、恋愛経験ゼロで唯一得意なのが早口言葉の文系少年。

見た目はいつも付いている寝癖にやけに長身な体。

チャームポイントは首筋にある謎の黒い紋章。なぜ黒い紋章があるのかは分からない。

生まれつきであり取ろうとすると激しい痛みが全身を走るためそのままにしている。


「俺の記念すべき中学校生活の一日目の始まりだ!」


影本という刺繍が入った学生服を上に掲げた。

どこか少し艶があり漆黒の闇のような黒色が服を染め上げている。

すると突然、俊哉の横から木製バットが飛んできた。


「グッフォォォ」


「朝からうるさいわね、たかが初日で何興奮してんのよ。」


「い、いいだろ別に!もう少し感動に浸らせてくれよ!」


木製バットを飛ばしてきたのは、影本俊哉の姉、影本莉緒だ。

彼女は明日、高校の始業式があるため高校二年生になる。

弟の俊哉とは違い、顔も姉弟とは思えないくらい似ていない。

体型がほっそりしていて顔も端麗な顔立ちで街中でスカウトされるほどだ。

趣味はアニメを見ること、恋愛経験は3回くらいの女子高校生だ。

彼女も俊哉と同じでなぜか左腕に黄色の紋章がある。もちろん、原因は不明だ。


「何が『俺の記念すべき中学校生活の始まりだ!』よ、聞いててうるさいから黙ってて。」


「んだよもぅ…」


ふと莉緒が時計に目を向けると短針が八を指していた。


「あんたさぁ、登校時刻って何時なの?」


「んーとな、確か八時二十分に予鈴で八時三十分に本鈴がなる。それがどうかしたか?」


「………中学校生活初日から遅刻ね、お疲れ様。」


「あー?遅刻ー?」


時計に目をやると、短針は八、長針は二十二を指していた。


「………ぇ……ええっ!早く言えよ!遅刻するだろうがっ!」


変わりようのない時間に驚きあたふたと準備を早く進める。

学生服を着てカバンを背負った。トーストを口にくわえてダッシュで走っていった。


「ひっふふふーす(行ってきまーす)!」


「初日から遅刻ね…、一体どういう神経してるのかしら。」


__ったく、初日から遅刻かよ、俺って残念な野郎だな。

内心で時間に気づかなかった自分を恨みながらダッシュで学校に向かった。

途中、全く同じ猫を何度も見かけたが特に気にしなかった。

走り始めて三分間、ついに自分が入学する中学校へ辿り着いた。


「へへっ、ここが俺の登校する中学校か、楽しみだなっ」


笑みを浮かべて校舎へ入っていった。

下駄箱付近に掲示されてあるクラス表を見て自分の名前を探し出すと俊哉のクラス、一年三組へ向かっていった。

一階にあるクラスのため、教室に入るまでは時間はかからなかった。

時刻は八時二十九分だ。


「ふぅー、なんとかギリギリ間に合ったな、さっすが俺〜。」


座席表も確認すると自分の席に座った。小学校とは違い、少し机が高くなっている。

教室全体を見ても、教壇が置いてあったり見慣れない物が置いてあったり、興味をそそるものが多い。

すると、ガラガラと扉の音を立てて入って来た者がいる。


「はーい、みんな席につけよー。」


このクラスの教師らしき人が教室へ入ってきた。

教師が下げているプレートを見ると「一年三組 担当教師 三山重治」と書いてあるためきっとそうだろう。

教師は生徒全員が席に座ったのを確認すると簡単に自己紹介を始めた。


「俺はこのクラスの担任になった三山重治(みやましげはる)だ。詳しい自己紹介はあとでする。とりあえず今から入学式だから出席番号順に廊下に並んでくれ。」


そう指示を出すとみんなが廊下に並び始めた。俊哉の出席番号は8番であったため、前の方に並んだ。

並び終えてふと窓側を見ると、朝登校していた時に見た黒猫がこちらをずっと見ていた。

__何だ、この猫。今日何回も見たぞ…。

妙な不安を内心に抱きつつ入学式の会場である体育館へ移動していった。



体育館へ移動すると、大勢の保護者で約半分は埋め尽くされていた。

やはり小学校よりかは少しばかり体育館の面積が広かった。

__やっぱ広いなぁ、小学校と中学校ってこんなに違うんだな…。

ぐるりと体育館を見回すと、足元付近に窓があった。

そこにも全く同じ黒猫がこちらをじっと見ていた。

__なんでこの猫俺のことをじっと見てるんだ…?

そこで俊哉は一つの可能性にたどり着いた。

__もしかしてあれか、俺の美貌に惚れちゃった的なやつ?ありえなくもないからなー。

__それだったらずっと俺のことを見てる理由も分かる。

内心で納得しながら僅かに笑みを浮かべる。


__いよいよ俺の中学生ライフ、始まるぜ!


この時はまだすぐに自分の中学生生活が潰れるとは思っていなかった。









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