遠い日の秋葉原
都内の専門学校の授業料免除キャンペーンとやらに惹かれて田舎から出てきた俺は、帰り道に人生初の『秋葉原』とやらに行ってみることにした!
噂によると、飯を食える店は「牛丼屋」と「マクド」くらいしか無いうえ、しかもトイレもほとんど無いらしく、駅のトイレで絞り出しておかないと後で地獄を見るらしい。
専門学校近くの駅から電車に乗って東京駅で降りた俺は、再び切符売り場で東京→秋葉原行きの切符をゲットして秋葉原へ向かおうとしたが、ホームには山手線と京浜東北線と書いてあって、どちらに乗れば秋葉原に行けるのかサッパリ分からない。
当てずっぽうで山手線に乗ったら秋葉原に行けた、ラッキーだ!
しかし、内回りと外回りってどういう意味だったんだろう……。
そういえば、俺が子供の頃に読んだ科学本にはカードキーで電車に乗れるようになるとか書いてあったけど、果たして一体いつになれば実用化するのだろうか……。
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電気街口と書かれた通路を通って外に出ると、そこは別世界であった。
やたらスイッチばかり売ってる店。
やたら電球ばかり売ってる店。
やたらスタンガンやら防犯グッズばかり売ってる店。
……東京ってそんなに犯罪多いのか? メトロシティなのか???
そんなコトを思いながらフラフラと街を歩くと、ベーマガによく名前の出ていたパソコン屋がたくさん並んでいて感動したのだが、それ以上に「どこもかしこも似たような品揃えの店」ばかりで驚いた。
しばらく歩いていると『人型パソコン エレンのご紹介です!』というアナウンスが聞こえてきたので思わず人の山に飛び込むと、そこにはPC-DIYという雑誌に載っていた人型パソコンの完成した姿があった!
まさか現物をこの目で拝むことが出来るとはっ! さすが秋葉原スゴイ!
でも、人型パソコンって思った以上にデカいな。
運ぶのも収納するのも大変そうだ……。
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駅周辺の散策に飽きた頃、俺はフラフラと裏路地に入っていった。
秋葉原には「オタク狩り」と呼ばれるチーマーが出現するらしいと噂を聞いていたので、なるべく独りにならないように気をつけながら歩く。
しばらく歩いていると、道端で日本人らしからぬ風貌の男達が周りをキョロキョロしながら露店を開いていた。
チラッと横目で見ると、そこには明らかに金額が1桁以上安く書かれたDTPソフトのパッケージが並んでいた。
コレが噂の「違法コピー露店」か!
……だけどこの露店の場所、交番からめっちゃ近所なのだけど、なんで捕まらないんだろう???
何度も、お巡りさんが街中を巡回する姿を見かけたけど、どうしてこの道を通らないんだろう???
そんなコトを不思議に思いながら、俺は露店の前をドキドキしながら通り過ぎた。
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帰り道、俺の鞄の中はパンパンに膨らんでいた。
というか鞄が二つに増えていた。
どうして秋葉原に登山用品専門店があるのか不思議だったけど、そのおかげで帰りの荷物を入れるリュックサックがゲット出来たのでとても助かった。
今回の戦利品は大量のジャンクパーツだ。
特に5インチ外付フロッピーディスクドライブを入手出来たのがとても嬉しい。
コレで自宅近所のゲーム屋で叩き売りされている5インチソフトが遊べるようになる!
あと、人には言えないちょっとアレな本も大量にゲットした。
これを家のどこに隠そうか、それだけが心配だ。
そして俺は、ワクワクしながら新幹線に乗り込んだ。
さらば秋葉原!
上京が決まったら毎日来てやるからな!
- End -
※注意※
作中で「東京駅で降りて、東京→秋葉原行きの切符を買う」という意味不明な行動をしていますが、これは「東京都区内」の意味が理解出来なかったため。
また、東京→秋葉原間は山手線と京浜東北線どちらでも行けると知らない上、外回り・内回りの意味も理解せずに勘だけで乗っています。
スマホで調べろよwwwと思うかもしれませんが、当時はそもそも携帯電話の普及率すら低いうえ、ウェブブラウザも付いていないので、田舎者にとって東京都は本気で「魔境」だったのです。




