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紅き閃光.ヴァリキュレス  作者: しまりす
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貴婦人ヴォルサティとヒヒイロ侯爵の取引。

 

 貴婦人ヴォルサティとヒヒイロ侯爵の取引。



『あの噂は真実(まこと)であろうか……』


 バスター城の最上階の小窓から庭に建てられた墓石に視線を移すハル皇子。


『皇子様、真実にございます。』


(わたくし)めも、この眼で、(しか)と確かめましたゆえ間違いはございません。』


 ハル皇子は魔導師ソウ.ルーイの言葉に、やや、ふらつきながらも、失った片眼を覆う眼帯に手を充てた。


『金の(ゴールデン.ドラゴン)は、バルキ.シオンの体を離れ新たな(あるじ)を探しに旅立ったか……』


『なぜ……俺を選ばぬのだ!』


 ソウ.ルーイがこれに答えた。


『皇子様、、、人にはあるべき運命そして、この世での使命がございます。』


『あなた様が金の(ゴールデン.ドラゴン)に選ばれなかったのでございません。』


『全ての事には然るべき時がございます。』


『時の限りが満ちた時、やがて答えが必ずや与えられるはずでございます。』


 ドドドーーーーーーン》》》


 ドドドーーーーーーン》》》


 ドドドーーーーーーン》》》


 グラッグラッグラッ)))


 突然の大きな揺れがバスター城を襲った。


 近衛兵士が、慌ただしく入って来た。


 ソウ.ルーイがハル皇子をベットに横にならせ兵士に訊ねた。


『騒がしい!』


『何事だ。』


『何者かが黒船を占拠しバスター城に南の雪(火薬)を降らせております!』


 ソウ.ルーイはへーベル河が(のぞ)める窓に身を寄せて黒船を探した。


 看板に並んだ大砲から放たれる砲弾が次々にバスター城を襲う。


 ドドドーーーーーーン》》》


 ドドドーーーーーーン》》》


 ドドドーーーーーーン》》》


 グラッグラッグラッ)))


 グラッグラッグラッ)))


 振動で石壁に亀裂やヒビ割れが入り、バラバラと小石が落ち砂煙があがる。


『ハル皇子!』


『ここは、危のうございます!』


『このままでは大砲の砲撃で石壁、諸とも崩落いたします!』


(わたくし)めが、馬車で霧の森へ一時、お移しいたします!』


『急ぎ城門に皇子の馬車を用意せよ!!』


『霧の森へ撤退する!』


 ソウルーイは仲間と共にハル皇子を馬車に乗せ一路、霧の森へ馬車を走らせた。


 馬車の中で横になるル皇子の視線の先の空を悠然と飛び行く金の(ゴールデン.ドラゴン)の姿。


『このエリスシオンとは……選ばれし者の地と呼ばれる由縁を俺は身を持って知らされたぞ……』


 ハル皇子の言葉に空を見上げるソウルーイ。


 次第に姿が小さくなり見えなくなる金の(ゴールデン.ドラゴン)


『あの方角は、エリスシオン城かと……新たな(あるじ)を見つけたようですな。』


 黒船の看板で勝利に歓声を挙げる一団。


『オーーーーーーッ!!』


 ヒヒイロ侯爵は得意気に美しい貴婦人に語り掛けた。


『金の龍を倒せたら、ワシの妃になるとの約束忘れてはおらぬであろうな?』


『真実なら、必ずヒヒイロ侯爵様の妃に参ります。』


 有頂天のヒヒイロ侯爵は甲板でステップダンス。


 ルンルンルン♪


『 ヴォルサティよ、 そちほど美しい貴婦人は見たことがない。』


『皆も、羨む結婚式を盛大に挙げようぞ!』



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