運命の糸車、姉弟(きょうだい)の再開。
運命の糸車、姉弟の再開。
『もう!』
『あんな大きなドラゴンに一人で立ち向かうなんて、身の程を知りなさいよ!』
『ハーデス.サラマンドていったら、最強中の最強なんだよ!』
『わたしが連弩でフォローしなかったら、とっくに貴方の頭にはリングがついてるわ!』
銀連強弩の少女妖精ウィリー.アステルが顔を膨らませならがら饒舌な滑舌で喋った。
『君といると、当分、退屈せずにすみそうだ……ハハハ』
翼白馬ペガサス.ミリオンの背に乗る龍討伐騎士、聖ジークは、彼女の話を軽く受け流した。
『ハハハ……じゃないわよ!』
ムッとするウィリーにジークが呟いた。
『霧の森が見えてきた……確か湖畔にある赤煉瓦造りの館は、随分、前から人がすんでいない。』
『そこに着いたら、温かいパルドウ.シチューを作って上げよう。』
『腹ごしらえして、ゆっくりと体を休めるといい……ほんのお礼だ。』
少女妖精ウィリーアステルは、笑顔を満面に浮かべた。
『ジーク!、いい人じゃん♪』
二人は赤煉瓦造りの館の近くに降り立った。
近付いてみると館の煙突から煙が出ている。
『ジーク!、このお家にだれか住んでるよ。』
ウィリーアステルの声に、大きな窓から顔を出す気品のある婦人。
『ポコプン……帰えってきたの?』
二人は見つからないように木の影に隠れて様子を伺った。
すると、肩に釣竿を抱えた若い男が籠に魚を入れて赤煉瓦の館のドアに立った。
ウィリーアステルが、寄りかかっていた木は枯れかかっていた根本から折れ彼女も、そのままその場に倒れた。
『アタタタタ……』
すると、どこからともなく、声がした。
【我、叫びのオハン。】
『え……?』
ウィリーアステルは辺りをキョロキョロと見回した。
【どこを見ておる……そなたが尻に敷いておる!】
ウィリーアステルが尻餅をついた地面に四隅に金の覆いがある盾が落ちていた。
聖ジークが、その盾を見てウィリーアステルに呟いた。
『これは、エリス.シオンに伝わる秘宝【叫びのオハン】の盾。
『なぜ、こんな森の中に……』
ウィリーアステルはオハンの盾を拾い上げ語りかけた。
『今日からわたしが、ご主人様だから、よーく覚えておきなさいよー!』
森の中が騒がしいことに気付いたポコプンと呼ばれる太った男が、おそるおそる近付いてきた。
ウィリーアステルが照れ臭そうに彼に答えた。
『ごめんなさい!』
『てっきり空き家だと思い、立ち寄ったんですーぅ。』
『わたしたち、もう、お腹ペコペコで……何か食べ物があったら分けてもらえませんか?』
太った男、ポコプンは目に涙を浮かべて何やら喋っている。
『あ、あ、アルテミウス……予のもとへ帰って来てくれたのだな……ウウウ。』
ウィリーアステルは首を傾げてオハンの盾で顔を半分隠して答えた。
『あ、あ、アルテミウス?』
『あのーひとちがいでは?』
ポコプンはさらに言葉を続けてウィリーアステル歩み寄った。
『何を言っておるのだ……アルテミウスよ!』
『そのオハンの盾が何よりの証拠!』
ウィリーアステルは苦笑いしながら、後ずさりして聖ジークの後ろに隠れた。
『ひとちがいですー!』
『ジーク、何か言って!』
騒ぎに気付き赤煉瓦の家から気品のある婦人が出てきた。
『ポコプンよ、どうしたのです?』
聖ジークは婦人を見てハッとした。
聖ジークは婦人の元へ歩み寄り、その手を取って顔を見詰めた。
『私を覚えていますか……メグメルの后.』
メグメルは、しばらく戸惑いの表情で聖ジークの顔を見ていた。
彼の顔を眺めたあと、次第にメグメルの瞳から涙が溢れてきた。
『ジーク.フリードリツヒ……』
『私の弟よ……』
『ここで、あなたに会えるとは夢にも思いませんでした。』




