表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅き閃光.ヴァリキュレス  作者: しまりす
4/67

前哨戦、ヘーベル河の戦い。②

前哨戦、ヘーベル河の戦い。②


エリス城から聖パトリシア修道院へ向かう一行に砂煙をあげて近付く一台の馬車。


駄馬弓隊の将、キュピレス姫は何事かと愛馬ルージュスターの歩みを止めた。


すると馬車から侍従を伴い一人の気品のある婦人が現れた。


キュピレスは婦人が誰であるか、直ぐに理解した。


彼女は国王の母、国母メグメルだった。


『そこな、キュピレス姫!』


『しばし、お待ちなさい!』


国母メグメルは侍従に命じ大きな袋をキュピレスに手渡した。


『国母様……これは?』


渡された袋から一対の弓と矢を取り出したキュピレスは我目を疑った。


しなやかな弓に風格のある火の紋様、そして自ら紅く光る矢。


その矢は放つ度に再び現れる尽きない矢。


伝説のエリス王家の国宝、無尽火矢ソアラーだった。



(キュピレス……※スキルアップ→無尽火矢ソアラー 、 入手ー!!)





『これより、我国の国難を打ち払うため戦場へ赴く勇者、戦の乙女キュピレス殿への贈り物です!』


『戦勝を祈っております!』


国母メグメルは、しっかりとキュピレス姫の手を握り、瞳を見つめてから馬車へと引き返した。


キュピレスは国母の深い配慮に一礼して駄馬弓隊一行の歩みを進めた。


しばらく行くと、小高い丘の上に聖パトリシア修道院が姿を現した。


修道院へ続く小道は幾重にもカーブを描いており道幅も狭く馬では通れない畦道あぜみちだった。


キュピレス姫は草原で愛馬ルージュスターを降り、徒歩で修道院まで行くこととした。


すると、いつ現れたのか……目の前に幼い女の子が立っていた。


『聖パトリシア修道院へようこそ。』


『……お言付けがございます。』


幼子は白い聖衣で身を纏っていて、わずかにオーラが輝きを見せていた。


『あなたは、キュピレス姫ですね…』


キュピレスは自分が何物かを少女が知っていたことに驚いた。


『なぜ、私のことを知っていたのですか?』


少女は僅かに微笑んで、答えた。


『あなたは、選ばれし天駆ける聖女となるお方です。』


『これは、神により定められし運命。』


『あなたが従えている仲間の方々から三人の助け手が現れるでしょう。』


『一人は盲目の老人。』


『もう一人は夫を戦で失い口の聞けなくなった婦人。』


『そして、もう一人は両親を亡くして悲しみの余り耳が聞こえなくなった幼い少年です。』


『この三人を連れて聖パトリシアの元へお行きなさい。』


そう言うと、幼い聖衣を着た少女は霧のように姿を消した。


キュピレス姫は仲間の中から聖女パトリシアの使いである幼い少女に言われた


三人の従者を見付け出して、供に聖パトリシア修道院へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ