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紅き閃光.ヴァリキュレス  作者: しまりす
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サバナ連合国の侵攻。



サバナ連合国の侵攻。



カッカッカッカッ''''')))


速馬が、けたたましい蹄の音を石畳の道に響かせながらエリス城の城門をくぐり抜けた。


伝令兵士は、馬から降りて兜をかなぐり捨て王宮へ 走った。


彼は二人の近衛兵士に両脇を支えられながら伝令の ため王座の間へと運ばれた。


ギギギーーーッ)))


(((バターン)))


王座の間の大きな両開き扉が開かれた。


レッドカーペットに息絶え絶えに倒れ込む伝令兵士 。


彼は何か言おうしているが、喉の乾きのために言葉にならない。


王座の間にはサー.ラミス王と黄金の龍ゴールデンドラゴンと呼ばれるバルキ.シオン宰相


そして亡国ラプリタァーナの姫、キュピレスがい た。


玉座に座るサー王が、身を乗り出して伝令の言葉を 待った。


バルキ宰相が伝令兵士に一杯の水を飲ませるよう近衛兵士に命じた。


伝令兵士は水を飲み干すと、一息ついて、話し出し た。


『王様、並びに宰相にお伝えいたします!』


『城より、およそ25キロの地点まで』敵は迫っ ております!』


『その数、およそ四万、鉄騎兵を先頭に、長弓 兵、さらに重装歩兵、そして火炎投石器が十数 台、続いております!』


『敵は今夜、ヘーベル河の対岸、ラッシュ平原 に陣を敷くもよう!』


『明朝、日の出を待ち進軍との情報を耳にいた しました!』


サー王は顔が硬直し、玉座をつかむ手の震え止まら ない。


青ざめた顔でバルキ宰相に話し掛けるサー王。


『宰相よ……我方に勝ち目あるかのう)))……ブルブル』


バルキ宰相はサー王を諌いさめるように言った。


『王様!』


『貴方様が狼狽うろたえておられますと、兵 士の士気にも関わります!』


『どうぞ、気をしっかりと持って、前を見据え


威厳を持って鎮 座しておられますように。』


バルキ宰相は伝令兵士の方を向き直り訊ねた。


『攻め手の旗印にはどのような模様が入ってお ったか、王様にお伝えせよ。』


伝令兵士はポケットから旗印の模様が書かれた紙をバルキ宰相に手 渡した。


『これは!?』


『亡国ラプリタァーナと、兄弟国リュシュフ.エ ンドルフの旗印!』


『確かに、この旗印で間違いないのだな!』


伝令兵士は両手を頭の上で組み誓った。


『相違ございません!』


宰相は再び、王の方を向き直り話し出した。


『王様!、滅亡したはずのラプリタァーナと


王様のお母君の祖国ルシュフ.エンドルフが、我国に 反旗を翻しております!』


亡国ラプリタァーナの姫キュピレスが伝令兵士に訊ねた。


『攻め手の将軍は隻眼なのでは?』


伝令兵士はキュピレス姫の質問に即答した。


『はい!確かに、隻眼の将軍でございます!』


『背中に背負う大剣は、人並み外れたもので驚 くばかりです!』


『聞き及ぶところによりますと、彼の者が帯びております剣は【南十字剣サザンクロス】とのこと。』


キュピレス姫は石造りの壁を拳で叩いて叫んだ。


『私の父が帯びていた剣!』


『おのれー!』


『まちがいない!』


『私の父を殺した仇!』


『多くの無垢むくの民を苦しめ、その命と引き換えに国を奪った悪鬼!』


『大悪党!』


『ドモフ.ウルワッハ!』


キュピレス姫は、サー王とバルキ宰相の前に膝まずいた。


『高潔で偉大な女神エリスの血を引き継がれしサー.ラミス王!』


『この私わたくしに、恥辱を拭う機会をお与えください!』


『弓騎馬隊三千を私にお預けくだされば

彼の者、攻め手の将軍


ドモフ.ウルワッハの首を御前に持ち帰ります!』


サー王はバルキ宰相の意見を求めた。


『宰相よ……如何なものか?』


バルキ宰相はキュピレス姫の横に立ち王に答えた。


『王様、この者ならば、必ずやご期待通りの戦果を挙げることでございましょう!』


その言葉に確信を得たサー王は、弓騎馬隊指揮をキュピレス姫に預けた。


サー王の言葉が玉座の間に響いた。


『勇敢なるラプリタァーナの戦いの乙女キュピレスよ!』


『行け!』


『そなたの父と、我国のために存分に戦って参れ!』


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