-己が地を統べる宝護龍の抱きし秘宝-
はい、如何も。今回は・・・い、一応最終回です。未だ話は幾つかあるんですけれど、高校時代に活躍した子達は此で御仕舞な訳ですね。此の後続くのは現在の自分が書いている訳で・・・あぁ、成長していないなぁ、と痛感する許りです。
ま、そんな愚痴は置いといて、今回は、今回は何と、タイトルで御分かりの通り、ドラゴンです!!ヒュー!カッコイイ―!惚れる!抱いて!
ドラゴンは・・・今更説明する迄もありませんよね。有名過ぎて沢山の亜種も出て来てカテゴリも段々とあやふやになった子です。面白い子が沢山います。
ざっと言ってしまえば翼を持った蜥蜴です。火吐いたり毒持ちだったり泳げたり・・・色々いますね、ある意味説明し難いです。
其の為此の話はそんなドラゴン達の一部を取り上げました。有名なカラーズです。色違いで能力が個々違うんですけれども、成る可く純正な子に合わせました。
さて、そんな多彩なドラゴンが護る宝がどんな代物が知っていますか?其が与えてくれるは富か災いか、ドラゴンが本当に護っているのは宝でしょうか、世界でしょうか。
ある街に一攫千金を夢見る若者が居た
男は近くの街で暴れている絳宝護の棲む洞窟へ向かった
武術の才は全く無かったが、夢見る若者は己の敗北等、考えられなかったのだ
絳宝護なら宝の一つや二つはあるに違いない
男は緋のマントに金文字で呪文を書き、其を羽織って勇んで洞穴へ向かった
所々で火の手が上がったが、男は其等を何とか避け、最深部へ辿り着いた
すると其処には既に血塗れとなって息絶えた絳宝護と、一人の同じく焼け焦げて息絶えた騎士がいた
男と同じ様に絳宝護に挑みに来たのだろうか
男はしめたと辺りを調べ始めた
程なくして絳い岩の下から金の王冠が出て来た
此は中々な宝だろう
男は喜んで其を持って帰った
だが男は考えた
絳宝護は未だ年若い宝護龍と聞く、ならばより上位の宝護龍の方が良い宝を持っているのではないだろうか
男は欲深だった
早速街に戻って人々に他の宝護龍の棲む地を聞いた
そして王冠を持って次に向かったのは、燥剛だった
男には考えがあった
あの闘いの場を見て、力では宝護龍に勝てない事を男は悟っていた
でも交渉は出来る筈だ
然も宝護龍は優劣を付ける為にも、他の宝護龍の宝を迚も気にすると言われている
男は燥剛に棲んでいた蒼宝護に斯う持ち掛けた
絳宝護の宝が欲しくないか、と
王冠を緋のマントで隠し乍ら
勿論だとも
電光を迸り乍ら蒼宝護は応じた
では貴方の持つ秘宝と、交換しませんか
蒼宝護は低く唸り乍らマントを見た
宝護龍は絳と金を弱点とする
取るに足らない人間如き、しかし、あれを身に纏っては、宝護龍は何も出来ないのだ
仕方なかろう
蒼宝護は然う言って金剛石をあしらった砂漠の薔薇を男に渡した
男は王冠を渡すと、颯爽と近くの街迄帰ったのだった
此は良い、男は思った
何と珍しい品だろうか、此を繰り返せば、私は何者にも勝る宝を手に出来ると
男は又街で他の宝護龍の居場所を聞き、歩き出した
次に着いたのは砂漠の洞窟
珠宝護は眠りから醒め、男に応じ、皓月の淡雪なる貴石を渡した
巉巌に登る銅宝護は貴石を鏤めた鎧を
剣山を舞う金宝護は金の鎖を
嶮岨を飛び交う銀宝護は銀の懐中時計を
蕭森に佇む翠宝護は珠樹を
卑湿で咆哮する黔宝護は黔真珠の首飾りを
沿海の洞窟で微睡む碧宝護は雫を象った蒼玉を
天駆ける煌宝護は雲海を写す水晶を
吹雪く地に戦ぐ皓宝護は永遠の冰の華を
男は世界を廻った
そして終に辿り着いた
宝護龍を統べる者、虹宝護に
突如周りが暗くなったと思うと、男の目の前に虹宝護が旻を舞い降りて来た
他の者達から其方の事は聞いた
面白い男がいると
虹宝護は徐に口を開いた
平伏して男は答えた
其は私だと
そして例の様に持ち出した
皓宝護の宝が欲しくはないか、と
成程、其方の策は分かった
男は咄嗟に逃げようかと考えた
怒らせたかも知れないと
まぁ、良いだろう、少し待っておれ
虹宝護は然う言い、己の背から何かを銜えて来た
さぁ、交換だ、我が宝を其方にやろう
男は冰の華を渡し、恭しく其を受け取った
其は銅鏡だった
相当古い物らしく、所々に錆が生じている
我は永き時を生きた宝護龍だ
今の世の価値観が如何変わったか分からぬが、辺境の地での神事では未だ使えるのではないか
虹宝護は嘲笑い、華を銜えた
男は失礼のない様に勤めて丁寧に言った
貴方は誰の宝が最も優れていると思うのか、と
絳宝護は新参者だから、彼奴が最も其方等の価値に合っているだろう、と
もう一度、交渉する事は最早出来ないだろう、其こそ、命迄奪われるかも知れない
男は落胆し、元の街へ帰った
旻を舞う虹宝護の銜えている冰の華が、星の様に煌いていた
-Fin-
御疲れ様です。一寸長目でしたが如何でしたでしょうか。個人的にドラゴンは迚も可愛くて是非とも背中に乗ったり頭や喉を撫でて揚げたい子なので退治とか嫌なんですよね。何で人間如きにやられないといけないんだ。人間が滅べば良いのに。
英雄談とか見ていると何時も然う思ってしまいます。八割方は退治されますからね・・・御仲間になれる話は非常に少ないです・・・有名なのはパフ位ですかね。
今回は男は無事に生きられましたけれども何気に後日談的な物は考えています。(何の話も公開しない丈で一応考えているんですけれどね。)
男は何も気にしていなかったですけれども、レッドドラゴンは悲しくも退治されましたからね。然も宝を盗まれています。何が起こるかは・・・又別の御話。
さて、お待たせしましたが次から未知の話になります。ちょーっと日本寄りな話が続きます。次の子は、有名な三兄弟。もう可愛くて可愛くて、飼いたくて仕方がない子です。そろそろ彼らが下山する時期になりましたし、丁度良い頃合いに縁があるかも知れませんね。
では良い物語を。